ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

山寺

2008年09月21日 | Weblog


異常気象を取り上げた民放番組、一応報道番組のよう
な看板を掲げていたが、結局、ワイドショーの一コーナ
ーを拡大したようなバラエティーであった。
センセーショナルに、異常性をあげつらう方式、どう
にかならないものだろうか。
科学に徹すれば、地味になりすぎ、視聴率が上がらな
い。
この絶対的な原理がある限り、状況は変わらないとい
うことなのか。
気概一つの問題であると思うのだが。

今回、特に笑ったのが、「クマゼミ」の北限調査。
「探偵ナイトスクープ」ではないのだから、地道な定
点観測とかそういうもので調査するべきものを、判り
やすい「山寺」などを持ってきて、「探偵ナイトスクー
プ」と同じことをやっていた。
「閑かさや、岩にしみいる、蝉の声」の「山寺」であ
る(立石寺)。
あの蝉は「ニイニイゼミ」であろうということになっ
ているが、それが「クマゼミ」に取って代わられたら、
芭蕉が詠った世界、風情はどうなってしまうんだ、と
いうことが趣旨のようであった。
どうなってしまうんだ、という前に、そんな風情はと
うにないであろう。
「ニイニイゼミ」の声を聞いて風情を感じる日本人が
一体どれほどいるのか、それをまず調査した方が良い。
今の殆どの日本人は、蝉の声などに興味はない。
ただ「クマゼミ」は、一際うるさいという程度の認識
である。

普段から自然を感じているのなら、風情などを感じる
感性を養うことも出来るだろうが、虫に限定すれば、
むしろ忌避しているのが現代人だ。
だから、「山寺」の「ニイニイゼミ」が「クマゼミ」に
なったところで、誰も気にしない。
にも拘らず、こういう番組をさも大変なことが起きた
ように作るテレビ局というのが、困ったものであるの
だ。

「クマゼミ」は間違いなく、北上している。
しかし、それだけではない。
作るのであれば、他の昆虫全般を取り上げるべきだろ
う。
「ツマグロヒョウモン」なども間違いなくその仲間。
外来の「アルゼンチンアリ」もそうだし、これは「ク
マゼミ」なんかよりもっと問題がある虫だ。
あと「セアカゴケグモ」はどうなったんだ。
一時、あれほど騒いだのに、今や完全に過去の虫だが、
いなくなったわけではなく、単に忘れらただけだ。
そういうものを網羅して、初めて全体が見えてくると
いうものである。
民放にそれを求めるのは、「日本代表」にWCでベスト
フォーを望むくらい、現実性のないことだろうか。
コメント