経済なんでも研究会

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ワナにはまった FRB議長

2019-08-06 08:10:59 | アメリカ
◇ また利下げの大合唱が始まる = FRBは先週31日、政策金利を10年ぶりに0.25%引き下げ、年2.25%とすることを決めた。しかし、その日のダウ平均株価は300ドル以上も下げている。金利を下げたのに株価が大幅に下落するのはかなり異常だが、それにはそれなりの理由があった。というのも利下げを発表したあとの記者会見で、パウエル議長が余計なひと言を口外してしまったからである。

政策金利の0.25%引き下げは、市場が完全に予測していた。このため利下げの発表があっても、株価はほとんど動かなかった。ところが直後の記者会見で、パウエル議長が「これは長期的な利下げ局面の始まりではない」とポロリ。すでに次の利下げを予想し始めていた市場には、強い失望感が広がった。株価が急落したのは、このためである。

近年の株式市場は、常に金融政策の先取りをして動いている。たとえば今回の利下げも、数週間前から読み込んでいた。さらに9月には次の利下げがあることさえも、しだいに織り込みつつあったと言える。だから、こうした予想通りなら株価はあまり動かないし、予想が外れると大きく動くことになりやすい。

市場が先読みをするようになったのは、中央銀行が“市場との対話”を重視するようになったためだ。金融政策の影響を緩やかに浸透させることが目的で、1980年代後半にFRBのグリーンスパン議長あたりが始めたようだ。しかし最近は、その弊害も現れてきた。今回もパウエル議長は、対話を念頭に置いて一言付け加えたのだろう。だが市場は“催促”をすれば、金利は下がると知っている。だから間もなく利下げの大合唱が始まることは目に見えているし、パウエル議長がこのワナから逃れることは至難の業だろう。

       ≪5日の日経平均 = 下げ -366.87円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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