経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2018-06-25 07:27:54 | 株価
◇ 株価は曲がり角に = ダウ平均株価は先週21日まで、8営業日連続で下落した。この間の下げ幅は861ドルに達している。主たる原因は、世界貿易戦争に対する警戒感。これにFRBによる利上げテンポの加速見通しが加わった。株安は各国の市場にも伝染し、世界市場の時価総額は1月下旬に比べて800兆円以上も減少したと試算されている。大天井を迎えたかどうかは即断できないが、株価が大きな曲がり角に来たことは確かなようだ。

貿易戦争の影響は、特に中国関連銘柄に色濃く表れ始めた。ボーイングやキャタピラー、インテルからウォルト・ディズニーに至るまで。業績見通しが下方修正され、売りを誘った。同時に貿易戦争はアメリカ国内の物価上昇をもたらし、消費の縮小を招く。それに金利上昇が加わって、景気の先行きにも懸念が生じてきた。

結局、ダウ平均は先週510ドルの値下がり。これに対して日経平均は週の途中で反発したこともあり、週間335円の下落だった。反発は円相場の安定を背景に、国内の個人投資家が下値拾いに出動したためとみられる。だがアメリカと中国、EU、カナダなどの間で始まった関税引き上げ競争は、拡大する様相だ。今週は逆張りが好きな個人投資家も、様子見に転じるのではないか。

今週は26日に、5月の企業向けサービス価格。28日に、5月の商業動態統計。29日に、5月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数、6月の消費動向調査、東京都の消費者物価。アメリカでは25日に、5月の新築住宅販売。26日に、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、1-3月期のGDP確定値、5月の小売り売上高。また中国が30日に、6月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-06-24 07:21:08 | SF
第4章  錬 金 術 と 太 陽 光

≪38≫ 人工の光線 = 「この話は絶対にオフレコだぞ。マーヤも承知しておけ。本当は話したくないんだが、賢人会の議長から『話しておくように』と、わざわざ指示があった。なんで、あのウラノス博士がこんなことを言うのか、私には解らない」

不満そうな口ぶりで、シュベール博士が訥々と喋り始めた。名指しされて、マーヤも緊張の面持ちで聞いている。
「われわれが発見した新金属ダーストニウムは不思議な力を持っていて、少量を混合するだけで鉄と金とニッケルなどを融合させてしまう。この新しい合金は素晴らしい強度と強い磁性を帯びるから、これを使って高速道路の路面で太陽光発電をしていることは、もう知っているな」

シュベール博士の顔が、いちだんと引き締まった。こちらも思わず身を乗り出す。

「ところがダーストニウム合金には、唯一の弱点があるんじゃ。それは、ある特殊な光線に当たると、例の魔法の力を瞬時に失ってしまうことなんだ。だから、この光線を照射されると、発電設備が破壊される。自動車も磁力を失い、走行できなくなる。
マーヤ君、君の体内にも微量の新合金が使われていることは知らんだろう。神経回線の接着用に、電導率の高いこの金属が使われているんだ。だから、もし光線Xが天から降ってくると、ロボットは直ちに機能しなくなってしまうだろう」

――それは大変だ。ところで、どんな光線なんですか。

「それは言えない。ただ有難いことに、この光線は自然界には存在しない。あくまで人工的な光だとだけ言っておこう。でも、ちょっとした知識と技術があれば、誰でもこの光線は作り出せる。そこが怖ろしいところなんじゃ。

要するに、この光線が発射されると、わが国のインフラは破壊される。それどころか、気象のコントロールもできなくなるだろう。君も知っている宇宙バリア。あれもダーストニウム合金の細い線で造られている。その強力な磁性の吸着力と反発力を利用して、人工衛星から投網のように発射して広大な網を空間に広げるわけだ。これも人工光線が注がれると、破れてしまう。すると気象のコントロールができなくなり、この国は厳しい自然に曝される」

シュベール博士はやれやれという表情で、こう締めくくった。「ダーストニウムと人工光線の話は、だから国家機密なんじゃ。おそらく知っている人は10人もいないだろう。それなのに何で、地球人の君に教えるのか。ウラノス議長はとても思慮深い人だから、何かを考えているんじゃろうが」

                             (続きは来週日曜日)


金利2%の そのあとは? / アメリカ (下)

2018-06-23 07:49:18 | 金利
◇ 忍び寄る世界貿易不況の影 = FRBが強調するように、たしかにアメリカの景気は好調を持続している。たとえば5月の失業率は3.8%で、18年ぶりの低さ。小売り売上高は前月比で0.8%増と、予想をはるかに上回った。消費者物価も前年比2.8%上昇している。これならFRBが利上げを速めるのも当然と言えるだろう。だが、そこへ立ちふさがったのがトランプ主導の貿易戦争だ。その悪影響が大きくなれば、利上げは難しくなる可能性がある。

それだけではない。大半の新興国が、アメリカの利上げによる資金の流出と貿易戦争のダブル・パンチに苦しみ始めた。自国の通貨を防衛するため、アルゼンチンやブラジル、インドネシアやフィリピンなど多くの国が利上げを余儀なくされた。利上げは景気の悪化を招き、貿易戦争は輸出を阻害する。それが時間とともに世界に拡散して行く。

そうした環境のなかで、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が「量的緩和政策を年内で打ち切る」と発表した。ECBは15年1月から量的緩和を開始、現在でも国債などを月300億ユーロ買い入れている。それを年内で取り止めるというわけだ。アメリカの引き締め促進に刺激された感じもあるが、世界経済の動向しだいでは実現できない可能性もあるのではないか。

アメリカやヨーロッパの中央銀行が、金融政策の方向を緩和から引き締めに転換しようとしているのは、次の世界同時不況に備えるためでもある。この観点からすると、日本の場合は全く身動きがとれないまま。したがって不況がやってきても、財政面からも金融面からも対策を講ずる余地がない。世界貿易不況の影が見え始めただけに、とても心配である。

       ≪22日の日経平均 = 下げ -176.21円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  


金利2%の そのあとは? / アメリカ (上)

2018-06-22 08:04:53 | 金利
◇ 利上げ街道 ひとり旅 = アメリカの中央銀行であるFRBは先週13日に開いた政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げ年2.00%とすることを決めた。政策金利2%は、リーマン・ショック直前の08年夏以来10年ぶりのこと。EUや日本などの先進国がまだゼロ金利から抜け出せないなかで、アメリカだけが金融正常化への道を突っ走る姿を鮮明にした。

今回の利上げは早くから予想されていたため、市場は全く驚かなかった。しかしFRBは同時に、今後の利上げテンポにも言及。その解釈を巡って、市場は大いに頭を悩ますことになった。そのテンポはことし中にあと2回。19年は3回、20年は1回という内容。まず、ことし後半に2回の引き上げがあると、政策金利は2.5%に。これは速すぎるのではないかという警戒論が、一部に発生した。

だがFRBのパウエル議長は、アメリカの景気が好調なことを強調。だから利上げのテンポを速められるという論理で、警戒論を鎮圧した形となっている。しかし19年も3回の利上げを実施すれば、政策金利は3%を超えてしまう。それでも景気は大丈夫なのか、という疑問は根強く残っているようだ。

ダウ平均株価は、先週から今週にかけて続落した。この下落にFRBの姿勢がどのくらい影響したのかは、よく判らない。というのもトランプ大統領が中国に対する制裁関税を発動、これが株価下落の大きな要因になったからである。おそらく株価を下落させた主役は制裁関税、FRBの引き締めスケジュールは脇役になったものと思われる。

                             (続きは明日)

       ≪21日の日経平均 = 上げ +137.61円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 


まだ異状なし : 5月の貿易

2018-06-21 07:34:55 | 貿易
◇ 3か月ぶりの赤字だったが = 財務省は18日、5月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は6兆3200億円で前年比8.1%の増加。輸入は6兆9000億円で14.0%の増加だった。この結果、貿易収支は5800億円の赤字。3か月ぶりに赤字を記録している。輸出は順調に伸びたが、エネルギーの輸入価格が上昇したため赤字になった。

輸出は18か月連続で増加。自動車や半導体製造装置などが、大きく伸びた。地域別では中国向けが13.9%増、アメリカ向けも5.8%増加している。トランプ政権は3月末から輸入する鉄鋼に25%の関税をかけているが、5月は輸出額で18.6%も増加。前月の13.7%増を上回っている。アメリカの自動車メーカーなどは、高くても日本の鋼材を買わなければならないのかもしれない。

輸入は5月としては、過去最高になった。特に原油の国際価格が上昇したことから、鉱物性燃料の価格が前年比20.7%も上昇した。たとえば原油・粗油の輸入額は28.6%も増加している。5月の円相場は平均1ドル=109円08銭。前年より2.1%の円高だったが、国際価格の上昇にはとても及ばなかった。

輸出全体は順調な伸びを続けている。だが原油価格が高騰すれば、日本の貿易収支は赤字になりやすい。アメリカ向けの鉄鋼輸出は2ケタの増加を維持している。したがって5月の統計からみる限り、貿易の状態はまだ正常だ。しかし今後は、トランプ大統領が主導する貿易戦争の影響が出てくることは避けられない。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +276.95円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


Zenback

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