経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2023-04-24 08:30:49 | 株価
◇ 来週は0.25%の利上げでほぼ確定 = ダウ平均は先週78ドルの値下がり。FRBは来週3日に金融政策を発表するが、0.25%の利上げになることはほぼ確定的。市場は完全に織り込んでおり、話題にもなっていない。代わりに関心は、1-3月期の企業業績に移っている。すでに発表された金融は増益と減益が交錯。ヘルスケアやテクノロジーは業績の悪化で売り込まれた。

日経平均は先週71円の値上がり。20日には2万8658円で年初来高値を付けたが、あとは利益確定売りに押されて下げている。買われたのは、食品・小売り・鉄道などの内需関連株。値上げの浸透で業績が好転するという思惑が働いた。中国経済の立ち直りや外国人観光客の順調な回復も、買い材料になっている。

ニューヨークでは今週、大手IT企業の決算が発表される。その予想はあまり芳しくなく、景気の先行きに関して悲観論が強まるかもしれない。一方、東京市場はニューヨークしだい。高値警戒感で売られやすくなっていることは確かだろう。また27-28日には日銀の政策決定会合が開かれる。植田新総裁が会見で、どんな発言をするか。

今週は25日に、3月の企業向けサービス価格。28日に、3月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数、4月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは25日に、2月のFHFA住宅価格指数、3月の新築住宅販売、4月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1-3月期のGDP速報、3月の中古住宅販売。またEUが28日に、1-3月期のGDP速報を発表する。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

急速に戻ってきた 外国人観光客

2023-04-22 08:30:34 | 外国人
◇ ‟おもてなし”の質を維持できるか = 観光局は19日、3月の訪日外国人客数を発表した。それによると推計値は181万7500人で、コロナ前19年3月の65.8%にまで回復した。コロナ禍で21年には24万人に落ち込んだが、各種の規制解除で予想以上に回復は早い。デパートなどでも、免税売り上げが急速に増加。JTBでは、ことし通年の訪日客数は2110万人に達すると予測している。

3月の訪日客数を国別にみると、トップは韓国で46万6800人。19年3月の79.7%まで回復した。続いて台湾、アメリカの順。中国は規制が残った影響で7万5700人、コロナ前の11.0%にしか戻していない。一方、アメリカ・シンガポール・ベトナム・オーストラリアからの客数は、すでに19年3月の実績を上回った。

観光庁は19日、ことし1-3月に来日した外国人客の1人当たり支出額を発表した。それによると、旅行中の消費支出額は18万5616円でコロナ前に比べて28.3%増加している。政府はこの支出額を24年度に20万円にする目標を打ち出しており、その目標にぐっと近づいた。ただし1-3月の増加には、物価高と円安の影響が大きく作用している。こうした一種のバブルで目標が達成されても、あまり意味はない。

最大の問題は、観光客を迎える側の人手不足。各種の調査によると、飲食・宿泊サービス業界では8割以上の企業が人手不足に陥っている。観光客が増えるのは喜ばしいが「日本の‟おもてなし”は質が落ちた」と言われたら大変。ベトナム人のツアー客が日本料理屋に入ったら、応対したのはベトナム人のアルバイトだったなどというのは、笑い飛ばせる話ではないだろう。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -93.20円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】      

エネルギー無策を露呈 : G7会議 (下)

2023-04-21 07:05:48 | エネルギー
◇ 原発にみる各国の基本的な考え方 = G7気候・エネルギー・環境相会合は、原発と再生可能エネルギーについてはきわめて現実的に対応した。閣僚声明では、ドイツとイタリアを除く5か国が「原発は安価で低炭素のエネルギーとなる可能性を認識する」と書き込んでいる。これはヨーロッパ各国が、原発に対する基本的な考え方を明確にしているからに他ならない。

たとえばドイツは15日、最後に残った3基の原発を運転停止。17基あった原発を完全に廃棄する。福島第1原発の事故を受けて、当時のメルケル首相が脱原発を決断。内閣が変わっても、この方針を貫いた。今後は風力を中心とした再生エネルギーによる発電を拡大して行く。またイタリアも脱原発の方針を決めている。

これに対してイギリスとフランスは、原発を増やして脱炭素を進める方針。このように姿勢がはっきりしているので、共同声明も異例な形になった。だが日本はどうだろう。岸田首相は「原発は最大限活用する」と、しばしば言明している。これを受けて、政府部内には「次世代型の原発を新設する案」も浮上しているのが現状。だが原発による発電比率をどこまで高めようとしているのか、全く不明。だから現実的な計画とは、言うことが出来ない。

原発の占める大きさが不明だから、太陽光や風力など再生エネルギーの比重もよく判らない。もちろんドイツのように原発をゼロにすると宣言する必要はないし、フランスのように可能な限り原発を増やすと決める必要もない。だが将来を見据えた実現可能な電源計画を持つことは、何より重要だ。それがないから、G7会合で日本は防戦一方になってしまった。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +50.81円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

エネルギー無策を露呈 : G7会議 (上)

2023-04-20 08:04:31 | エネルギー
◇ 議長国・日本がぶち壊し役に = 札幌市で開かれたG7(主要7か国)気候・エネルギー・環境相会合は16日、閣僚声明を発表して閉幕した。ところが、この声明の内容は迫力ゼロ。実質的には、ほとんど意味がないものになっている。出席した欧米の閣僚たちは、口々に「議長国の日本が多くの問題で水を差した」と恨み節。確固たるエネルギー計画を持たない日本の欠点が、思わぬところで露呈してしまった。

最大の関心事である化石燃料の扱い。声明は「CO₂排出削減対策のない化石燃料の使用を段階的に停止する」と書いた。CO₂排出削減対策というのは、CO₂を回収して地下に貯蔵する措置など。これまでも段階的に停止することは合意されていたので、今回はその対象に天然ガスを含めたことだけが新しい。また「世界の温室ガス排出量を、35年までに19年比で60%削減することの緊急性が高まっている」とも書かれているが、これは国連の政府間パネルが3月に発表した文面と全く同じだ。

石炭火力発電の問題。ヨーロッパ各国とカナダが、廃止時期の明示を強く主張した。しかし日本の反対で、明示はせず。声明には「段階的な廃止を目指す」とだけ書き込まれた。これは昨年のG7会合で発表された閣僚声明と全く同じ内容。何も進歩がなかったことを意味している。当然、各国代表からは失望の声が上がった。

当面の関心事である排ガス自動車の販売規制。アメリカやイギリスは明確な日時の設定を強く主張したが、日本は反対。その結果、声明には「35年までに00年比で50%削減する可能性に留意する」という、全く意味不明な文章が書き込まれた。また欧米各国が要望したEV(電気自動車)の導入目標については、全く触れられなかった。

                        (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 下げ -52.07円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

人手が 足りなーい! (下)

2023-04-19 06:53:17 | 人口
◇ コロナが変えた働く意識 = いま「人手が足りなーい」と大騒ぎをしているのは、飲食や宿泊サービス業界だ。経済の正常化で外出や旅行が盛んになり、外国人旅行客も戻ってきた。ところがコロナ時に減らした従業員が、なかなか復帰してこない。若い人たちが接客業を敬遠する一方で、製造業や金融業からの転職も難しい。

コロナによって、働く人の意識が変わった面も見逃せない。在宅勤務に慣れた人のなかには、通勤電車に乗ることを嫌がり自宅での仕事を探した例もある。失業手当をもらって生活したら、働くのが嫌になった人もいる。そして少なからぬ人が、よりよい待遇や賃金を求めて転職を考えるようになった。こうした動向が、一部の業種では人手不足を助長している。

その根底には、生産年齢人口や労働力人口の減少がある。大きな不況にでも見舞われれば別だが、人手不足の傾向は今後もずっと続くに違いない。その傾向を緩和するには、リスキリング(学び直し)や求人と求職のミスマッチを無くす努力が必要だ。しかし看護師や介護士などの資格を持ちながら家庭に引きこもった人たちを呼び込むには、やはり賃金の引き上げが欠かせない。

OECD(経済協力開発機構)の集計によると、日本の平均賃金は21年時点で3万9711ドル、30年前の91年時点の3万7866ドルからほとんど増えていない。これでは外国人も、しだいに日本へは来なくなる。外国人留学生が日本の企業に就職する割合は、ついに5割を割ってしまった。逆に日本人が高い賃金を目指して外国へ働きに行くケースも、確実に増えている。人手は足りなくなるばかりだ。

        ≪18日の日経平均 = 上げ +144.05円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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