経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

人手が 足りなーい! (上)

2023-04-18 08:03:09 | 人口
◇ 生産年齢人口が12年連続で減少 = 総務省は先週12日、22年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2494万7000人で、前年より55万6000人減少した。東京都を除く46道府県のすべてで減少している。このうち日本人は1億2203万1000人で75万人の減少。外国人は291万6000人で19万4000人の増加だった。出生児数は79万9000人、死亡者数は153万人で、差し引き73万1000人が自然減少ということになる。

また生産年齢人口(15-64歳)は7420万8000人、前年より29万6000人減少した。減少は12年連続。このうち日本人は7173万人で、前年より47万2000人減少した。生産年齢人口というのは‟働き盛り”の年齢という意味で、働いていない人も含まれる。これに対して、実際に働いている人に失業者を加えたのが労働力人口(15歳以上)。その労働力人口は6902万人で、前年より5万人減少した。

少子高齢化の影響がはっきりと表れ、人口の減少が止まらない。特に生産年齢人口や労働力人口の減少は、人手不足の根本的な原因になる。政府はいま少子化対策に懸命となっているが、その効果が現われるまでには相当な時間を要することは明らか。したがって当面の対策としては、外国人に頼るかロボットを普及させるしかない。

そこで政府は、遅まきながら技能実習制度の改善に乗り出した。ところが大問題は、東南アジアの若者たちにとって「日本は魅力的な出稼ぎ先」ではなくなってしまったこと。たとえばスイスの研究所による調査では、日本の魅力度は63か国中54番目に落ちている。これは言葉の問題、年功序列などが嫌われているせいでもあるが、最大の原因は賃金水準が低いこと。管理職クラスはもちろん、一般職の給与も台湾や韓国に抜かれてしまった。

                        (続きは明日)

        ≪17日の日経平均 = 上げ +21.31円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2023-04-17 07:29:13 | 株価
◇ 好材料が重なって活気づいた市場 = ダウ平均は先週401ドルの値上がり。4週連続の上昇で、一時は3万4000ドルを覗いた。好材料が重なったことで、買いに勢いが付いている。その好材料は、まず金融不安が遠のいたこと。また物価上昇が鈍化したこと。さらに雇用の状態が良くも悪くもなく、FRBの引き締め政策にも景気の見通しにも影響しなかったこと・・・。

日経平均は先週975円の値上がり。先々週末から6連騰となった。終り値は2万8500円に接近、金融不安が起きる前の水準に戻している。こちらも金融不安の後退・経済正常化による旅行やインバウンドの回復・2月決算企業の健闘・植田日銀体制の無難な船出。それにウォ―レン・パフェット氏の援護までが加わった。この世界的に有名な投資家は「日本株への投資を増やす」と発言、同調する買い物を誘っている。

こうした好材料の影響は、時間とともに薄れて行く。しかし今週も、その効力は持続するだろう。しかし株価水準が上昇したため、利益確定売りが増えることは避けられない。にもかかわらず上昇基調を維持できれば、株価の勢いはかなり底堅い。また下げたとしても、その幅が大きくなる可能性は小さいと思われる。ただしニューヨーク市場よりも、東京市場の方が下げやすくはなっている。

今週は19日に、3月の訪日外国人客数。20日に、3月の貿易統計、2月の第3次産業活動指数。21日に、3月の消費者物価。アメリカでは17日に、4月のNAHB住宅市場指数。18日に、3月の住宅着工戸数。20日に、3月の中古住宅販売。21日に、4月の製造業PMI。また中国が18日に、1-3月期のGDP速報、3月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (最終回)

2023-04-15 08:05:36 | なし
◇ コロナの即時データがなくなる = コロナのパンデミック(世界的大流行)状態を示す毎日の感染者数と死亡者数は、米メリーランド州のジョンズ・ホプキンズ大学が当初から集計して公表してきた。ところが、この作業は3月末で停止。理由は多くの国が毎日の集計を止めてしまったからである。WHO(世界保健機関)も最初に中国が公表を停止したときには批判したが、今回は沈黙。今後は即時データがないまま、手さぐりでコロナ・ウイルスと対決して行かねばならなくなった。

日本も同じ。政府は5月8日から「コロナの感染法上の位置づけを季節性インフルエンザ並みの5類に移行」する。それと合わせて、都道府県による毎日の集計・発表も停止することになった。この結果、新規のコロナ感染者数は少なくとも1週間後、死亡者数は2か月後でなければ判明しなくなる。これまでのように、夜にはその日の感染者数や死亡者数が報道される状態ではなくなるわけだ。

ところが皮肉なことに、いま日本の感染者数は少しずつ増え始めている。たとえば4月14日時点の感染者数は累計3357万3266人。この1週間で5万6407人増加した。この増加数は前週より1万5907人多く、昨年9月から続いてきた縮小傾向は終わったようにも見える。また死亡者数も累計7万4211人。この1週間で141人増加した。この増加数は前週より3人多くなっている。

‟第8波”はなんとか終了したようだ。現在の緩やかな増加傾向は‟第9波”の始まりというよりか、低い丘の始まりとい感じが強い。だが即時データがなくなってしまうため、その判断には時間がかかる。即時データの停止が「人類がコロナに打ち克った証拠」なのかどうか。そうであることを祈りながら、このコラムも終了することとする。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +336.50円≫

        【今週の日経平均予想= 4勝1敗】    

遅すぎた 技能実習制度の見直し

2023-04-14 07:41:37 | 外国人
◇ 日本は魅力の少ない国になっている = 政府の有識者会議は10日、技能実習制度の廃止を提案する中間報告書をまとめた。途上国への技術移転という本来の目的と実態とが、乖離してしまったからだという。実態は労働者不足を補うための補完的労働者に。管理も十分でなく、給料の不払いや酷使、暴力行為もしばしば問題となっている。現在の人数は約34万人。21年には約7000人が失踪した。

こうした問題は早くから指摘されていた。だから廃止の提案は遅きに失したと言えるだろう。しかも制度をどう変えるかの方向性は、なお疑問だらけだ。有識者会議は「人材確保を目的とする制度の新設を検討すべし」と主張している。だが、これでは「技術移転という衣を脱いで、労働力が欲しいという鎧を見せつける」ようなもの。どう考えても、制度の改善につながるとは思えない。

外国人実習生を雇用した企業に対しては、監理団体が監督することになっている。だが機能していないケースも多く、それが過酷な労働環境の放置につながる原因となっている。しかし有識者会議は、この監理団体による監督のやり方を続けることにした。どうも目指している方向が労働力確保の一点張りであり、日本で働こうとする若い外国人の方を向いていない。

外国人実習生に対しては、日本の最低賃金制度が適用される。しかし日本の賃金水準は、すでに台湾や韓国よりも低くなってしまった。東南アジアの若者が出稼ぎに行く国として、日本の魅力は低下している。そんな状況で、人材確保だけを目的とした新制度を作るのは考えものだ。「日本で真面目に働いたら、こんないいことがあるよ」と言われるような制度を作ってもらいたい。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +74.27円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

なぜ政府は 静観なのか? : 敦賀原発

2023-04-13 07:48:46 | 原発
◇ 責任の所在を明確にせよ = 原子力規制委員会は5日、日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)について「安全審査を中断する」と発表した。理由は日本原電が提出した資料に「多数の記載ミスが発見されたため」だという。規制委員会は、提出された書類の一部を8月末までに修正するよう行政指導した。この結果、安全審査はさらに長引き、敦賀原発2号機の再稼働は遠のくことになった。

敦賀原発2号機の安全審査は、原子炉建屋の直下に活断層があるかどうかが焦点。日本原電は15年、再起動に向けた安全審査を規制委員会に申請した。ところが資料の書き換えなどが発覚、21年に審査が中断。昨年12月に審査を再開したが、また資料の不備で中断したことになる。日本原電がケアレス・ミスを続けているのか、正しい資料だと審査に合格しないと考えているのかは判らない。しかし、これがきわめて重大な問題であることは確かだ。

いま日本は、この夏も電力不足の心配がある。ウクライナ戦争の影響を受けて輸入燃料の価格が高騰、貿易赤字は年20兆円を超えた。このため物価が上昇、購買力の流出が大きく景気は低迷している。政府も「原発は最大限活用する」方針を打ち出した。そんなとき敦賀原発2号機が再起動できれば、1兆6000億円分のLNG(液化天然ガス)輸入を減らせる。

もちろん安全でない原発を動かすわけにはいかない。だが、そのための安全審査が資料不備のために遅々として進まないのは大問題だ。それなのに、政府はなぜ静観を決め込んでいるのだろう。安全審査に口を出すわけではない。安全審査を円滑に進めるために、責任の所在を明らかにすることぐらいは実行すべきだと思うのだが。

        ≪12日の日経平均 = 上げ +159.33円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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