経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2023-09-18 07:30:23 | 株価
◇ 消去法で強気に転じた東京市場 =  ダウ平均は先週42ドルの値上がり。3万4000ドル台後半で上下した。8月の消費者物価は3.7%上昇と加速したが、エネルギーと食料を除いたコア指数は4.3%の上昇で前月より鈍化。市場はこちらを重視して「9月の利上げはなし」の見方に傾いている。しかしECB(ヨーロッパ中央銀行)は利上げを継続、FRBがどんな決定を下すかは未定だ。このため株価は大きく動けなかった。

日経平均は先週926円の大幅な値上がり。ニューヨーク市場で「9月の利上げなし」説が強まったことを好感。日銀が長期金利の上昇を容認したことから、金融株などが買われた。また岸田改造内閣が発足、新しい経済政策への期待も高まっている。とにかくヨーロッパと中国は雨模様、アメリカもFRBの決定を前に曇り空。こうしたなかで東京市場だけに日が差している状態。消去法的に強気になったとも言えそうだ。

いよいよ今週は、日米ともに金融政策の決定会合が開かれる。仮にFRBが大方の予想に反して0.25%の利上げを決断したとしても、市場は「これで利上げは終了」と受け取り、大きな混乱はなさそうだ。一方、日銀は長期金利の上昇をどこまで許容するのか。もし1.0%までの上昇を認めるとなれば、次は短期のゼロ金利解除に焦点が移りそうだ。日銀総裁による20日の記者会見を注視したい。

今週は20日に、8月の貿易統計、訪日外国人客数。22日に、8月の消費者物価。アメリカでは18日に、9月のNAHB住宅市場指数。19日に、8月の住宅着工戸数。21日に、8月の中古住宅販売。なお20日にパウエルFRB議長、22日に植田日銀総裁が記者会見する。

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ

過剰反応? ジャニーズCM排除

2023-09-16 07:56:00 | なし
◇ イジメの臭いがする = 花王、サントリー、日産自動車・・・。有名企業がジャニーズ事務所に所属するタレントの広告起用を、次々と中止している。ジャニーズ側は防戦一方、とうとう「今後1年間、所属タレントが出演した際の出演料はすべて本人に支払い、事務所は報酬を受け取らない」と発表した。それでも企業側のジャニーズCM排除の勢いは止まらない。どうしてなのだろう。

周知のように、この問題はジャニー喜多川元社長による若手タレントに対する性加害が発端。だが、その加害者は19年に死去している。いま問題が改めて取り上げられ、被害者に対する補償や事務所の体質改善が進められることはいい。しかし事務所に所属する多くのタレントたちは、全く関係がない。その人たちの仕事を奪うことに、どんな意味があるというのだろう。なんだか「お前は犯罪者の息子だ」と因縁をつけるイジメを連想してしまう。

経済同友会代表幹事でサントリー社長でもある新浪剛史氏は記者会見で「所属タレントを広告などに起用することは、チャイルド・アビューズ(児童虐待)を認めることになる。国際的にも非難のもとになる」と、手厳しかった。だが、この論理は短絡的で理解しにくい。たとえば年末になっても補償問題や事務所の体質改善が実行されなかった場合に、こういう批判が出るのなら判る。

しかし事務所側が改革に手を付けたばかりのいま、新浪氏の批判は少々性急ではないのか。あるいはジャニーズ事務所には、いまなお性的な犯罪者が存在しているかのような言い方に聞こえる。そのことはまだ一般には知られていないが、広告関係者には衆知の事実なのか。そんな勘ぐりまで出かねない。とにかく無実のタレントの職を奪う行為には賛成できない。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +364.99円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】    

人手不足がネックに : 企業業績

2023-09-15 07:24:50 | 利益
◇ 企業景気予測調査が教える下半期の問題点 = 内閣府と財務省は13日、共同で実施した7-9月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。それによると、大企業の景況判断指数はプラス5.8で2四半期連続のプラス。このうち製造業はプラス5.4、自動車関連企業が大きく回復した。非製造業はプラス6.0、コロナ規制の解除を受けてサービス業が大きく伸びた。ただ中小企業は全産業でマイナス5.5と、不況を脱していない。

この調査は全国1万1000社の企業を対象に実施。自社の景況感が前4-6月期を上回ったかどうかを聞いている。判断指数は「上回った」という回答の割合から「下回った」の割合を差し引いた数値。この先10-12月期の予想について、大企業・全産業ではプラス7.3と好調が持続する見込み。製造業はプラス8.8、非製造業はプラス6.5という結果だった。中小企業もプラス0.7と、わずかではあるが水面上に顔を出す。

ところが23年度の経常利益については、全産業で3.9%の減少。製造業は10.7%、非製造業は1.4%の減益となる見通し。特に情報通信機械器具製造、化学、運輸・郵便、建設などの業種が大きく悪化する。アメリカや中国の景気動向、原材料価格の高騰などが利益を圧迫すると予想しているのだろう。そのうえ、この調査は人手不足がネックになるとも教えているようだ。

調査によると、現状の人手不足感は大企業・全産業でプラス24.0。それが10-12月期の予想でも20.5とやや下がるだけ。このうち製造業は16.4から14.8へ、非製造業は27.7から23.2へ。また中小企業は29.1から27.8へと下がることは下がる。しかし人手不足感はまだ続くわけで、これが利益を減少させる最大の原因になる可能性は大きい。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +461.58円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

「再生エネを30年までに3倍」 : G20宣言

2023-09-14 07:12:41 | エネルギー
◇ 日本は目標を大幅に上げられるのか = インドで開いたG20(主要20か国首脳会議)は10日、首脳宣言を採択して閉幕した。ウクライナ戦争を巡って激しく対立する各国が、一堂に会したこの会議。にもかかわらず首脳宣言をまとめられたのは、議長を務めたインドのモディ首相の功績だという評価が高い。首脳宣言ではロシアや中国への批判を避け、気候変動・食料・エネルギーなど人類が直面する大問題を列挙。各国の結束を訴えた。これなら反対する国は出ない。

問題の列挙にとどまったかと思いきや、ただ1か所だけ重要な政策目標を具体的に明示した点があった。それは気候変動に関する部分で「2030年までに再生エネルギー容量を、世界全体で3倍にする取り組みを追求する」という内容。世界の現状から判断すれば、実現は不可能に近い。きわめて野心的な目標の設定だと言える。

たとえば脱炭素に最も熱心なEU。ことし3月「30年の再生エネルギー比率を42.5%に引き上げる」ことを決めた。現状と比べて2倍以上の引き上げとなるが、それでも3倍からは程遠い。日本政府の計画は「19年度の発電量1853キロワット時を、30年度に3130キロワット時に増やす」という内容。これも3倍には、とても届かない。

モディ首相は、この首脳宣言について「すべての参加国が100パーセント合意した」と明言した。文字通り解釈すれば、会議に出席した岸田首相も同意したことになる。でも岸田首相は帰国後、こんな大事な合意点について何も触れていない。「世界中の国が不可能だと考えているから」「モディ議長が勝手に書いたものだから」と考えているのかしら。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -69.85円≫

        ≪14日の日経平均は? = 下げ≫ 
 

円の価値が 大暴落している (下)

2023-09-13 07:23:17 | 円相場
◇ 貿易の大赤字も大きな要因に = 円相場を低落させる最大の原因は、やはり金利差の問題。たとえばアメリカの長期金利は4.3%、日本は0.7%程度。政策金利はアメリカの5.25%に対して、日本はマイナス0.1%という状態だ。おカネは金利の高い方へ流れるから、どうしても円が売られドルが買われることになる。来週もしFRBが金利をさらに引き上げれば、日米の金利差はもっと拡大。円安がさらに進むことになるだろう。

貿易の大赤字も、円安の大きな原因となっている。たとえば輸出企業は海外で儲けた利益を日本に持ち込めば、ドルを売って円を買うことになる。逆に輸入企業は円を売ってドルを買い、支払わなければならない。そこで輸入額の方が大きいと、全体としては円売り・ドル買いの方が上回る。輸出企業は海外での利益を現地に置いたままにするケースも多いから、その差はさらに拡大してしまう。

ここで注目すべき点は、原油価格の影響だ。原油の国際価格が上昇すると、アメリカではインフレ圧力が強まり、FRBの政策は利上げに傾きやすい。すると金利が上昇して、日米間の金利差が拡大。ドル高・円安が進む。一方、原油価格の上昇は、日本の貿易赤字を増大させる。これもドル高・円安を生みやすい。このように原油価格の高騰は、2つの面から円安の促進要因となる。

円安は輸入価格の上昇を通じて、企業や家計の負担を増加させる。その負担分だけ、設備投資や消費が抑制されることになりかねない。政府はその負担分を軽減するため、補助金を出す。しかし原油の輸入量を少しでも減らすための政策はとらない。一方、日銀はゼロ金利に固執し、むしろ円安を助長している。なんとも理解に苦しむ財政・金融政策なのだ。

        ≪12日の日経平均 = 上げ +308.61円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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