どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

心に残る詩人たち 12

2024-10-27 00:44:00 | ポエム

今回はミリオンセラーの歌い手・井上陽水に登場してもらおう。

ぼくが日本の楽曲でシングル盤を買ったのは「リバーサイドホテル」と「少年時代」だけである。

シンガーソングライターと呼ぶのは軽すぎて恐れ多い。適当な表現が見つからないのだが歌詞も曲も自分で創ってしまうのだからたぐいまれな天賦の才に恵まれた音楽人ということはできそうだ。

とにかく詞が新鮮だ。

ぼくらの常識的な知識や感覚をつぎつぎとひっくり返してくれる。

 

<リバーサイドホテル>

誰も知らない夜明けが明けた時

町の角からステキなバスが出る

若い二人は夢中になれるから

狭いシートに隠れて旅に出る

昼間のうちに何度もKISSをして

行く先をたずねるのにつかれはて

日暮れにバスもタイヤをすりへらし

そこで二人はネオンの字を読んだ

ホテルはリバーサイド

川沿いリバーサイド

食時もリバーサイド

Ohー リバーサイド

 

チェックインなら寝顔を見せるだけ

部屋のドアは金属のメタルで

シャレタ テレビのプラグは抜いてあり

二人だけでも気持ちは交い合う

ベット〈ママ〉の中で魚になったあと

川に浮かんだプールでひと泳ぎ

どうせ二人は途中でやめるから

夜の長さを何度も味わえる

 

ホテルはリバーサイド

水辺のリバーサイド

食事もリバーサイド

Ohー リバーサイド

 

ホテルはリバーサイド

水辺のリバーサイド

レジャーもリバーサイド

Ohー リバーサイド

 

井上陽水の詞にはさまざまのテクニックが隠されているが、<川沿いリバーサイド>とか<金属のメタル>とか言葉の重ね使い〈ダメ押し〉が効果的に使われている。

 

このほかに<少年時代>の歌詞も魅力的だ。

 

夏が過ぎ 風あざみ

誰のあこがれに さまよう

青空に残された 私の心は夏模様

夢が覚めて 夜の中

永い冬が窓を閉じて

呼びかけたままで

夢はつまり 想い出のあとさき

 〈以下略〉

 

風あざみ・・作者の感性が生み出した造語。

呼びかけたままで

夢はつまり 想い出のあとさき・・類型のない表現だが、夢の実態を表して正確性を感じる。

すばらしい感性の持ち主には遮るものがない。

表題の『心に残る詩人たち』の一人に上げさせてもらった理由である。

 

 

 

 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは(^^♪ (のり)
2024-10-27 14:08:51
「少年時代」が好きでした・・・今も好きな曲の一つです🎶
返信する
Unknown (tadaox)
2024-10-27 15:20:31
>のり さんへ
>こんにちは(^^♪... への返信

『少年時代』はいつまでも歌い継がれるでしょうね。
詞〈ことば〉に夢がありますからね。
返信する
少年時代 (ウォーク更家)
2024-10-27 20:44:37
素晴らしい独特の感性の歌詞の「少年時代」は私が一番好きな曲です。

この曲を生で聞くために、以前に、井上陽水のコンサートに出掛けたことがあります。

そのときのリバーサイドホテルも良かったです。

井上陽水はトークも上手くて、心から楽しませてくれました!
返信する
曲も詞も楽しい (tadaox)
2024-10-28 00:07:53
>ウォーク更家 さんへ
>少年時代... への返信

こんばんは。
コンサートで陽水の生歌を聞いたのですか。
贅沢な・・。
トークも上手ですよね。
タモリとのやり取りは抜群でした。〈テレビだったかラジオだったか〉
ありがとうございました。
返信する

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