どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(17)

2007-09-06 21:41:55 | 小動物

     身ごもったトカゲ

 九月に入って一日だけ真夏が戻った日、日当たりの好い道路に見慣れないトカゲが姿を見せた。
 茶色で胴が太く、動きの悪いトカゲだった。
 いつも煉瓦の陰や草むらで見かけるのは、もっと小型で動作も俊敏だ。なにより陽光を受けて銀むらさき色に輝くタレントのような肢体だった。
 もっとみたいと思っても、すぐに物陰に隠れてしまいなかなか姿を現さない。男を焦らす小娘のように感じていたのだ。調べてみたら『ニホンカナヘビ』というヘビメタ族だった。
 ところが今日のやつは違う。
 べったりと路面に這って、できることなら放って置いてくれといっている。横着なのは、たぶん身ごもっているからだ。上から見ても、横から眺めても、腹の膨らみが尋常ではない。
 トカゲの種類にもいろいろあるのだろうが、この地味な色といい動きの悪さといい、素人考えながら妊娠中と診断した次第である。
 図鑑では五、六月の産卵と出ているから、誤診というケースもありうるが・・・・。

 台風が接近中で終日大雨が降っている。
 セミも蝶もアブも蜂もどこかに身を潜めているのだろう。台風一過、晴れれば虫たちも大慌てで出てくるはずだ。
 普段遊んで帰るサラリーマンが帰宅を急いで駅のホームに溢れているという。ラジオのニュースを聞きながら、積んだ薪の隙間や木のムロに潜む昆虫・小動物におもいを馳せる。
 たまには自然を意識するのもいいだろう。
 災害を避けるための工夫も、生きていることの意味を考えさせるきっかけだ。すっかり実の入ったモロッコいんげんは、倒れても起こせばいい。
 ジャガイモは土の中で安全だ。
 家の屋根は木の枝が落ちれば傷つくかも知れないが、とりあえず人間の身は守ってくれる。
 停電に備えて、懐中電灯・ローソク・マッチを用意しておこう。
 ブログも発信できるうちに発信してしまおう。
 

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« どうぶつ・ティータイム(16) | トップ | どうぶつ・ティータイム(18) »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自然を意識する? (知恵熱おやじ)
2007-09-07 07:50:16

自然の中にいながら、「たまには自然を意識する」ってすごいねぇー。
自身すっかり自然の一部になりきっておられるということなのでしょうね。


「ヘビメタ!」ははは・・・。
鮮明な写真のせいもあるでしょうが、美しいね。
窪庭さんの写真いつも楽しみにしています。
台風大丈夫だった?

知恵熱おやじ
返信する

コメントを投稿

小動物」カテゴリの最新記事