意外に手ごわい台風だった(軽井沢にて)
昨日、軽井沢まで行く用事があってルート146を走った。
前夜大雨を降らした台風だったが、わが家のあたりは大した風速を感じなかったので、太陽が顔を出した正午ごろ高を括って出発した。
ところが群馬と長野の県境を越えてしばらく行ったところで、片側一車線を塞ぐ風倒木に出合ってビックリさせられた。
軽井沢では、折れた木の枝に頭を直撃されて亡くなった方がいる。どんな状況か詳しいことは知らないが、倒木を目の当たりにして危険はどこにでも潜んでいることを思い知らされた。
夜この国道を通過していて、あわやの目に遭ったクルマがあったかもしれない。台風と樹木と人間が交錯した一点に、予想もつかない事象が生じることもあるのだ。
軽井沢一帯は停電に見舞われ、旧軽井沢では避難指示を出された一郭もあったらしい。
あちこちに倒木を処理した切断痕が生々しく突き出ていたから、思いがけず手ごわい風が吹いたことを実感した。
道路も、上信越道・国道18号・碓井バイパスが枕を並べて通行止め。迂回路の一つ高崎の倉渕に抜ける峠道も閉鎖されて物流はほとんど止まってしまった。
電線が撓んだ道をひやひやしながら通り抜け、スーパーマーケットに飛び込んだ。だが、生鮮食品はまだ陳列してない。肉や魚の冷蔵ケースはがらがらなのだ。
店員が大童でパンやコロッケを並べ始めたが、とにかく品数が少ない。あるのは在庫品の冷凍食品、ビン類、カン類、乾物、菓子、一部の野菜・果物など。
人間、無いとなると余計に欲しくなる。
少し時間をつぶして、品揃えが整うのを待った。目当ての物のいくつかは買えたが、いくつかは揃わなかった。
スーパーマーケットに近い碓井バイパスは、佐久方面から高崎方面へ向かう車線が連なったきりピクリとも動かない。
もう少し先に抜け道でもあるのか、通行止め解除を待っているのか、プロの運転手がやることだから何か成算があるのだろう。
近辺をひとめぐりしてみて思った。水が溢れそうになるのは大きい川ばかりではない、と。
むしろ小川や用水など普段余り水かさのない流れがあぶない。
特に森の中の人目に付かない沢や川は、枯れ枝で堰き止められたところへ一気に水が流れ込むから、たちまち縁を越えて地表を走る。
そんな場所を二、三箇所見た。
もしかしたら、情報はいくらあっても思惑通りにいかないのではないか。
トラックの運転席を降りて携帯電話をする姿に、そう思った。
コンビニのATMが作動しないのも、予想しない事態だった。
自然災害は人間の予測を超えるものだ。
台風がもたらした混乱。
自然と人間の交差点は、信号機ひとつの故障で簡単に機能停止状態だ。
大都会とはまったく異なる恐怖。台風の猛威はどこにでもあるのでしょうが、わりと身近な軽井沢地区でも、さまざまな恐怖と被害が。
マスコミが伝えないそんな事象をビビッドで教えてもらいましたよ。
湘南の住民の当方も、台風九号には参りました。ただし、それは家の雨漏りや建具が引っ剥がされた程度。なんだかお恥ずかしい。