どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

自薦ポエム59 『ミューズからの使者ヒメコブシ』

2020-11-25 00:43:05 | ポエム

遠い国からやってきた

美の親善大使なんていったら

あなたは照れるでしょうね

 

寒い国から送り込まれた

プリマドンナにたとえたら

あなたは眉をひそめるでしょうか

 

ピンクに透けた花びらは

乙女の頬に浮かんだ微笑みのようで

人びとを魅了するのは確かだが・・・・

 

とつぜんレースの衣装を脱いで

毛皮のコートを纏ったりしないかと

季節の門番は危惧を捨ててはいないのです

 

姫辛夷をおおうのは恋のトキメキだろうか

それとも脈打つ大地の胎動か

命のキラメキは人智をこえて空に放たれる

 

ほころび始めた花弁の陰からは

まだ萼にとざされた花精の悶えがきこえる

待ちなさい 苦しみは歓びの胚芽・・・・待つのだ

 

やがて木の枝は少女バレー団の舞台となる

送り届けた寒気団はもうシベリアに後退した

姫辛夷のデビューはいつもミューズの謀(はかりごと)


  

* ミューズとは、 ギリシャ神話に登場する女神ムーサの英語表記。(物思いにふける・・・・といった意味がある)


(『ミューズからの使者ヒメコブシ』2015/11/26より再掲)


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