遠い国からやってきた
美の親善大使なんていったら
あなたは照れるでしょうね
寒い国から送り込まれた
プリマドンナにたとえたら
あなたは眉をひそめるでしょうか
ピンクに透けた花びらは
乙女の頬に浮かんだ微笑みのようで
人びとを魅了するのは確かだが・・・・
とつぜんレースの衣装を脱いで
毛皮のコートを纏ったりしないかと
季節の門番は危惧を捨ててはいないのです
姫辛夷をおおうのは恋のトキメキだろうか
それとも脈打つ大地の胎動か
命のキラメキは人智をこえて空に放たれる
ほころび始めた花弁の陰からは
まだ萼にとざされた花精の悶えがきこえる
待ちなさい 苦しみは歓びの胚芽・・・・待つのだ
やがて木の枝は少女バレー団の舞台となる
送り届けた寒気団はもうシベリアに後退した
姫辛夷のデビューはいつもミューズの謀(はかりごと)
* ミューズとは、 ギリシャ神話に登場する女神ムーサの英語表記。(物思いにふける・・・・といった意味がある)
(『ミューズからの使者ヒメコブシ』2015/11/26より再掲)
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