どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつティータイム(273) 『熟れると色づく植物の実』

2020-09-25 18:46:45 | エッセイ

    

 

夏も終わり秋の気配が色濃くなるころ、シシトウがやっと赤くなり始めた。

1本の苗木につぎつぎと白い花をつけ、それが青い実となって食卓に変化をつけてくれる。

たまたま視界に入りづらい地面すれすれの実が、取り忘れたまま赤く色づいていた。

魂胆があってそのまま放っておくと、赤さを増し、図体もどんどん大きくなった。

「よし、これは来年用のタネになるかもしれない」

多くの野菜は種苗会社の都合で、1代限りの<一代配種>というハイブリット種が使われており、翌年用のタネにはならないのである。

こんなことを書くと、「育てやすく、均一な成果を得るための交配で、むしろ恩恵を受け取ってもらいたい」と種苗会社から苦情が出そうである。

しかし、「タネを制する者は世界を制する」というのが今や常識となっていて、農業従事者はいやでも種を買わなくてはならないようだ。

昔は、トウモロコシでも麦でも今年収穫したものを選別して、翌年のタネとして保存しておいたものだが、一度でも途切れたら万事休す。

ハイブリット種を購入する羽目になる。

 

こうした状況を意識しながら、「シシトウ」に期待するのは無謀かもしれない。

しかし、季節を感じて、こんなに赤くなるのだから、「きっと子孫を残すはずだ」と思いたいのだ。

人間の手であれこれ操作されても、植物本来の子孫を残す力が蘇るかもしれない。

それに、このシシトウは海老のように尻尾を曲げて、釣りで言えば鯛をも釣れそうじゃないか。

収穫して乾燥させて、来年試してみる価値はある。

植物の実は、熟れれば色づき、人間に喜びを与えてくれる。

危うい願いだが、当面信じてみることにする。

         *

(不手際により、画像・文章が未完のまま公開してしまいました。途中でお読みいただきました方にお詫び申し上げます)

 

 

 

 

   


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2 コメント

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種の怒りを (知恵熱おやじ)
2020-09-26 17:05:58
種苗会社の利益のために子孫を残せないように操作されてしまった”種”の悲しみを想う

赤くなるまで残してもらった種よ
根性出して、意地でも来年芽を出してくれ

遺伝子のどこかにまだ、子孫を残す秘密を隠していると信じたい
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同感です (tadaox)
2020-09-26 19:54:25
(知恵熱おやじ)様、ほんとに同じ思いです。
昨年は、市場で買ったカボチャ(一昨年)の種を播いてみたところ、小さな実が2,3個付いたものの結局うまくいきませんでした。

こちらの未熟さもあるので結論付けられませんでしたが、今思うとカボチャも犠牲者だった気がします。
世界一位の種苗会社モンサント〈米国〉は、すでにバイオ企業として遺伝子組み換えの先頭を走っていますが、日本のタネ会社も同じでしょう。
大義名分の陰で、植物は泣いていることでしょう。
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