(ロバではありません)
花見に誘われ、いそいそと散歩しているのは、テレビ・スターのミニホース。
といっても、一度どうぶつ番組に登場したのを見ただけで、名前も性別も知らないのです。
「ロバではありません」
飼い主の女性が、ぼくの間違いを訂正してくれるまで、小さいというだけで驢馬と思い込んでいたぐらいですから。
それはともかく、樹木の根方に生えた雑草を夢中で食べるミニホースの表情は無邪気そのもの。
立ち話にも、写真にも関係なく、ひたすら口をもぐもぐさせて草の穂先をむしりとっていました。
申し遅れましたが、ここは小川に沿った小公園の一角です。
サクラも頭上に咲く、細長い緑地が続いています。
柵に沿って植えられた水仙が勢いよく芽を出し、横にはアジサイも葉を茂らせて季節を謳歌しようと待ち構えている真っ最中。
「食べられない植物は、ちゃんと避けていますね」
「わかってますよ」
動物は、どうして分かるんだろう。
匂いとか、なんとか・・・・。水仙やアジサイに毒が含まれているなんて、そんな知識があるわけもないだろうし。
ミニホースにとって、公園の草は生サラダ?
偏りがちな食事にけっこう気を遣う若者と同じ。牛丼のセットにお飾り風のサラダを添えて。
ないよりマシ程度でも、小鉢を頼むのは本能でしょうか。
緑地ベルト公園を行くミニホースのお尻を見送って、ぼくはぼくの用事を思い出しました。
知人宅を訪れる前に、電話をしなくっちゃぁ。
「行く春や 尻ふる馬の尾とともに」
(この項は、2009-04-14に投稿済みのものですが、編集上の都合で日付を変更致します)
馬くんの食欲のわりにはまだ草もあまり生えていなくて・・・
「行く春や・・・」とその尻をのんびり眺めている窪庭さん。俳句なんか捻って、ゆったりしたよい時間だなー。
そして「馬のお尻を見送って、不意にぼくにはぼくの用事があったことを思い出した」窪庭さん。
わっとエネルギーに満ちた櫻の季節が去った直後の気の抜けたようなぬるい空白感が伝わってきてなんか心地よいですね。
間もなく緑のエネルギーの季節がやってくるまでのつかの間の空白。
好きだなァー。
知恵熱おやじ
自分では気づかなかったけれど、桜に酔い痴れたあとの虚脱感があるのかも。
みんなボーっとして、なんとなく心を空にして・・・・。