どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

心に残る詩人たち 10

2024-10-11 00:18:00 | ポエム

   サトウハチロー

  〈写真はウィキぺデイア〉より

 

サトウハチローは詩人でもあるが童謡などの作詞家としてよく知られている。

ぼくの好きな「ちいさい秋みつけた」の歌詞を見てみよう。

 

1 だれかさんが だれかさんが
だれかさんがみつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋みつけた
目かくしおにさん 手のなるほうへ
すましたお耳に かすかにしみた
呼んでる口笛 もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋みつけた

2 だれかさんが だれかさんが
だれかさんがみつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋みつけた
お部屋は北向き 曇りのガラス
うつろな目の色 溶かしたミルク
わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋みつけた

3 だれかさんが だれかさんが
だれかさんがみつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋みつけた
むかしのむかしの 風見の鶏 (とり) の
ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ
はぜの葉赤くて 入り日色
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋みつけた

 

なんとも郷愁に満ちた詩ではないか。

サトウハチローが布団に腹ばいになって窓の外を眺めていたら、赤く色づいたハゼの葉が目についた。〈自身の言葉〉

 

<来歴>

父は、小説家の佐藤紅緑]。母・佐藤はるは、現在の宮城県仙台市出身で、河北新報社の創業者(社主)の一力健治郎の義妹(一力の妻の妹)にあたる。この両親の長男として、1903年(明治36年)5月23日、現在の東京都新宿区市ヶ谷薬王寺町に生まれる。

中学に入学後、紅緑が舞台女優の三笠万里子と同棲するようになり離婚する。

父親への反発から中学を落第、退校、勘当、留置場入りを重ねる。

感化院があった小笠原諸島の父島で父の弟子であった詩人の福士幸次郎と生活を共にし、影響を受ける。
1919年(大正8年)福士の紹介により西条八十に弟子入りして童謡を作り始め、数々の雑誌や読売新聞などに掲載される
その一方で今東光などが参加した同人誌『文党』や、草野心平や宮沢賢治などが参加した同人誌『銅鑼』に参加する。
1926年(大正15年)には処女詩集『爪色の雨』を出版1930年代からは童謡や詩だけにとどまらず、小説や映画の主題歌なども盛んに執筆する。1938年(昭和13年)には日本コロムビアと専属契約を交わす。第二次世界大戦が激しくなる中でも妻子を千葉県に疎開させ、自身は東京に残って仕事を続けた。

1945年に終戦となり、戦後初めてとなる映画『そよかぜ』の主題歌・挿入歌である「リンゴ唄」を作詞する。並木路子の歌により大流行した。

1946年エッセイ「見たり聞いたりためしたり」の連載を始め、およそ10年の間、毎日連載された。

また、同年の12月からNHKのラジオ番組『話の泉』]のレギュラーとなり、1964年(昭和39年)まで出演した。1951年(昭和26年)から1年間は、NHKのラジオドラマ『ジロリンタン物語』の原作を執筆する。

1853年(昭和28年)童謡集『叱られ坊主』を出版し、翌年これにより第4回芸術選奨文部大臣賞を受賞。以後は童謡の詩作に専念し、1955年(昭和30年)「ちいさい秋みつけた」を作詞、1962年(昭和37年)レコード大賞童謡賞を受賞。1963年(昭和38年)NHK放送文化賞受賞。

 

<主な作品>

童謡

  • 秋の子
  • お山の杉の子
  • ちいさい秋みつけた
  • かわいいかくれんぼ
  • うれしいひなまつり
  • めんこい仔馬
  • スカンクカンクプー
  • 子狸ポポンコの話
  • アイウエオの歌
  • カブトガニの唄

詩集

  • 爪色の雨
  • いとしき泣きぼくろ
  • 僕等の詩集
  • 少年詩集
  • 少年詩歌集(編著)
  • 好きな人のうた
  • 友だちの歌
  • おかあさん
  • タムタム・ナムナム
  • 生活の唄
  • 美しきためいき
  • あすは君たちのもの
  • 愛を唄うそ
  • たっけだっけの歌
  • もずが枯木で
  • まっすぐに愛して
  • 悲しくもやさしくも
  • おかあさんその後の花束
  • ある日のうた
  • 母を唄う

小説

  • エンコの六
  • 赤い顔黒い顔
  • 父の顔母の顔

ユーモア小説

  • 男・女
  • 小唄と絵
  • 俺の故郷
  • 公園三人衆
  • 貧乏行進曲
  • 青春列車
  • 若者行進曲
  • 俺の仲間
  • 若い雨
  • 愉快な溜息
  • 青春街道
  • 青春音頭
  • 養女なんてお断わり

少年少女小説

  • ユーモア艦隊
  • ムニャムニャ玉
  • おさらひ横町
  • 空は青いぞ
  • 子守唄倶楽部
  • 青春五人男
  • たんぽぽ倶楽部
  • 僕等の拍手
  • 三色菫(パンジー)組
  • 青空学校
  • ベレーの合唱
  • それから物語
  • 西遊記
  • おさらい横町
  • しくじり日記
  • あべこべ玉
  • 足なみ揃えて
  • 九人物語
  • 愉快な友だち
  • バットをにぎれば
  • 春を握る
  • ポロンポロン物語
  • げんまんものがたり
  • 本塁打(ホームラン)クラブ
  • トコちゃん物語
  • 青春相撲日記
  • 少年巨人軍
  • 少年野球夜話
  • とんとんクラブ
  • ぼくは中学一年生
  • チャア公四分の一代記
  • ガブダブ物語
  • 旗のない丘
  • 踊るドンモ
  • トコちゃんモコちゃん
  • あべこべ物語

 

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