どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

むかしの詩集とフォト日記(15) 「愛の形象」

2011-02-04 22:09:19 | ポエム

    花と蝶




     「愛の形象」



  宿場だった街の

  塀を接した細い路地の

  そこだけ押しつめたような濃い闇の中で

  男が涙をこぼしたとしたら



  挫折する主義もなく

  失うような恋もなく

  素手のまま

  男が涙をこぼしたとしたら



  地中深く

  雲母に似た愛が生まれている






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2 コメント

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不思議に詩作 (くりたえいじ)
2011-02-05 11:20:02
うーん、「雲母に似た愛」で考えさせられてしまいました。どんな〈愛〉だろうかと。
あるいは、その〈男〉とは、どんな人間だろうかと。
ともかく、奥深そうな詩を短くまとめ、かつ余韻を残しているあたりさすがです。
くどくどとした説明を避け、読む者にポーンと球を投げてきた感じもします。
いつかまた、「恋」が生まれそうになったら読み直してみます。
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野花と蝶のあいだには・・・・ (窪庭忠男)
2011-02-05 23:29:54
(くりたえいじ)様、ありがとうございます。
     
今回画像を選びながら、蜜を吸う蝶とアザミの関係に、曰く言い難い愛の姿を感じました。
求めるものと与えるもの、決して貪欲にならない自然の営みが心に訴えてきました。
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