どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

作詞でもしてみようか① 『イルカ乗りの少女』

2012-04-28 03:16:56 | 音楽

     (作詞でもしてみようか)①



 作詞家といえば、星野哲郎や阿久悠の名前がまず頭に浮かぶ。

 時代を象徴する歌謡曲には、歌手もそうだが優れた作詞家・作曲家の力が結集されている。

 カラオケへ行けば、画面に歌詞のテロップが流れ、いい気持ちで唄いながらも、絶妙のことば遣いに唸るばかり。

 中には、「クサイな・・・・」と思うこともあるが、巧みな音階・節回しに乗ってしまうと、そこが逆に寂びというかクセになるから不思議である。

 演歌も好きだが、「神田川」のような青春歌謡もいい。

 「少年時代」(井上陽水)、「青春時代」(森田公一)とともに、細胞に染み込んでいる。



 さて、そうした名曲を並べておいてから、いきなり素人の詞をあからさまにしようという神経はわれながら相当厚かましい。

 さんざん迷ったことは確かだが、「えーい、ままよ」と投稿して恥をかくつもり。

 もっとも、近ごろの若者の歌には、つぶやきみたいな詞、グチや言いがかりみたいな言葉が少なくないから、そこが頼みである。

 正統派の歌詞は、ことばの字数やアクセントにまで気配りするようだが、当今は字余り、字足らず、駆け足、足踏み、なんでもオーケーに見える。

 それが却って新鮮なイメージを呼ぶ場合もあるから、その部分に期待する・・・・とか、調子よすぎるかな?

 いつまでぐだぐだ言っていても埒が明かないから、イクわよ。





     『イルカ乗りの少女』




  わたし気づかなかったのよ イルカに夢中で

  「娘と一緒に バージンロードを歩きたい」なんて

  父さんの夢 叶えてあげられなかった

  ごめん ごめんなさい 自分勝手で

  だけどイルカたち わたしのすべてを愛してくれたわ

  どんな男の子より 軽々とわたしを支えてくれた



  わたし幸せだったのよ イルカと話せて

  わき目も振らずに ショー・テラスの床を磨いていたの

  父さんの事 かまってあげられなかった

  ごめん ごめんなさい 自分勝手で

  だけどイルカたち わたしの合図で水面を飛んだわ

  どんな友だちよりも 心からわたしを信じてくれた


  
  わたし取り戻したいのよ 父さんの夢を

  いまさら遅いと みんなため息まじりに言うけれど

  ウェディング写真 ビーチボールに貼ってみたの

  ごめん ごめんなさい 自分勝手で

  せめてイルカたち わたしの泣き顔をみつめないで

  どんな父と子よりも 笑顔の似合う思い出残したい

  

 

  

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4 コメント

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期待の連作 (丑の戯言)
2012-04-29 12:40:50

新機軸のコーナーが出現しましたね。
「作詞でもしてみようか」①というわけですから、連作になることでしょう。

その第一編がイルカ乗りの少女をテーマにあげたなんて夢があるようです。
その底辺には父親への思慕が絡めてあるところなんざ泣かせます。

こんな調子で、今後もお続けなさるならば、節(ふし)も付けたくなりますね。
もっとも、窪庭さんの詩にはメロディーが漂ってくるので、読者が勝手に節を付ければいいんでしょう。
返信する
難しいけど続けます (窪庭忠男)
2012-04-29 22:40:22
(丑の戯言)様、新しい挑戦にエールを送っていただき、ありがとうございます。
     
慣れないことで難しさを感じますが、小説と交互に発表していきたいと思います。
     
考えてみると、詞だけではだめで、音が付いて初めて一つの世界が完結するように思いました。(曲をつくれる人がうらやましい)
返信する
歌の詞には夢がある (知恵熱おやじ)
2012-05-01 17:47:00
窪庭さんの「詩」には複雑な寓意が籠められていていつも謎解きするように楽しませていただいていましたが、歌われることを前提にした「詞」はまた別の意味で心地よく愉しませていただきました。

あまり深読みせず素直にイメージの世界に浸ればよいようで・・・声に乗せたときに最終完成となる詞はやはり人の生理にぴたりと来るのかもしれませんね。

この女性のお父さんはすでにこの世にないのかも知れないなと想像しながら読んでいたらなにやら頭の中にメロデイのようなものが勝手に浮かんできたりして。

そういえば連想ですが、むかし「イルカに乗った少年」という歌がありましたっけ。

窪庭さんもこの詞に思いついたメロデイをつけてみたら如何でしょうか。

音符など書かなくても口ずさむことで作曲は可能ですし。

石坂まさをという作詞作曲家(藤圭子の歌で大ヒットした”新宿の女”など)がいますが、このヒットメーカーは口ずさむことで作曲していますよ。若いシンガーソングライターの中には同じようにして作曲する人は珍しくないようです。

いつか試してみません?
返信する
へえ、そんな方法があるんだ・・・・ (窪庭忠男)
2012-05-01 20:45:50
(知恵熱おやじ)様、いいことを教えていただきました。
端からピアノとかギターで作曲するものと、思い込んでいました。
石坂まさお氏が口ずさみながら曲をつくっていたとは、また若いシンガーソングライターの一部にそうした方法を採っている人がいるとは、まったく知りませんでした。

詞についてですが、イメージしていただいた通りのシチュエーションで書いてみました。
「イルカに乗った少年」への連想もありました。しかしあの映画、たしか怖い映画でしたよね?
いろいろとアドバイスいただき、ありがとうございました。
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