『ダメ親父』のその後
四月十三日、NHKホールで「クーペ & Shifo」コンサートを観た。3000人収容のホールがほぼ満員だったから、人気のほどが分かろうというものである。
古くさい言い方だが、老いも若きも思い思いの楽しみを期待して集まる気楽な会場風景だった。
第一部はShifoさん中心のステージ。
日本レコード大賞の金賞に輝いた「気分上々↑↑」を初めてナマで聴かせてもらった。作曲した曲をピアノの弾き語りで演奏、しなやかな姿にメジャーデビューの自信を見ることができた。
第二部はいよいよクーペさんの登場である。
Shifoさんや大勢の演奏者が待機する中、セリでするすると揚がってきたものだから客席からどっと笑い声がもれた。
「一度やってみたかったのよね」とShifoさん。
演出の上手さにみんな引き込まれてしまった。
当ブログで最初に紹介したのは、2006年12月25日のことだった。
それまでまったく知らないユニットだったが、フジテレビの「ザ・ノンフィクション」で取り上げた演出者の方からDVDをいただいたのをきっかけに、生まれてすぐ別れた娘さんを探す『ダメ親父のラブソング』を文字で再現したものだった。<どうぶつ・ティータイム(5)>でのことだったから、その間ずいぶん時間が流れている。
クーペさんは還暦を迎えたらしい。ドキュメント当時から二年余が過ぎている。ホームレス歌手と呼ばれても仕方のない聖蹟桜ヶ丘『スタンド・バイ・ミー』時代から苦楽を分かちあった<おじさんバンド>が舞台で共演したのも、心憎いまでの演出だった。
Shifoさんのたしかな存在とおじさんバンドのコミカルな声援が際立っている。まだ脳梗塞の後遺症が残る手足と言葉の不自由さを乗り越えて訴えかけるクーペさんの作詞とだみ声の真実が、多くの人の心をひきつける。
再会した娘さんもゲストの高岡健二さんへの花束贈呈の形で登場した。
クーペさんは三十年の辛苦をこの二年で取り戻したろうか。たぶん、そうだろうと思って他人事ながらほっとしている。
それはそれとして、短い詩だが最も気に入った『急ぐからだよ』という楽曲を紹介して今回のブログの締めとする。
「急ぐからだよ/
死ぬまでに良い人になれば良いんだから/
そんなに急ぐから 折れるんだよ/
無理するから/
神とか仏なんかに 頼りたくなるんだよ」
クーペさんとShifoさんのユニットと、それを支えようとするみなさんの熱気も伝わってくるようでした。
お客さんの層も広く、たくさん定着されたのでしょう。よかった、よかった!
この報告ブログを読ませてもらって、ほんわかしましたよ。
有難うございます。
ここまでは父と娘の人生ドラマを軸に展開されてきたステージも、歌手としてはそろそろ次のステップに攀じ登らなければならない時期に差し掛かってきたようですね。
これまでシフォさんの音楽的才能に一方的に助けられて進んできたクーペさんだったように思いますが、これからはシフォさんとクーペさんが互いに自立したミュージシャンとしてがっぷり4つに組み合っていかなければならない日が来るような予感がします。
双方にあるものとないものが火花を散らすように葛藤するとき、はじめてお互いに一人で唄っていただけでは到達しにくかった「新しいステージ」に駆け上がることが可能になるのではないか、、、と。
次のステージがそのような新鮮な驚きにみちたものになっていただきたいと、切に祈っています。
知恵熱おやじ