富津岬
「するめ」
するめを食うかクチャクチャ噛めばよわい日差しの味がするするめ
ムシロの上でひっくりかえし表ひっくりかえし裏くりかえし、海が
揺れていた目玉はどこか砂のなかにでも転がり落ち抗議のくちばし
も簡単にひんまげられた。するめきのうは青空に励まされきょうは
腹ばいでもうおしっこも出なくなった。自分でわかるかどっちが背中
だよわい日差しの味がするするめ、このするめはどこの産だ。頭の
ヒラヒラは北海道、胴は本州で足は・・・ない。するめ足があるのに
適当な比喩がない日本列島、地図をひっぱり出してさがすさがせども
九州足にしては太すぎる。もう一度するめをよく見て気がついたヒロ
シマナガサキピカドンするめの顔はなんであんなに足に近いのか。
世界一の夜明けはあんまりしあわせすぎて気をうしなっていたその
ひまに癒着していた足だナガサキ九州だ。もう暮れることのない天を
仰いだまま、するめの顔はなくなっていた目玉砂浜に転がり夜になる
とチカチカ光っているが、わざわざ食えないシロモノをさがしに行く
奴もいない。するめ裏もなく表もなくひっくりかえしくりかえし焼かれ
よわい日差しの匂いが都会の隅から、隅の屋台から屋台の汚い皿の
上からつままれた震える指のあいだから食われた口のひん曲がる端
から夜更けの裏通りをながれ・・・。日本人顔のない目のない裏表
はっきりしないするめが好きだが、なかでも癒着した足を一本いっぽん
切り離した夢みたいなゲソ好きだ。背中が見たか腹が見たか両方見た
はずの碧空を想い、青い海でゆうゆうとしたおしっこもう出なくなった
こののっぺらするめににやりと笑い、安酒とはいえ欲しいとき飲める
わが身をほくそえみいつまでクチャクチャ夜は更けていく。しだいに人
びと去り人去り残った奴、いつまでクチャクチャいくら噛んでも食った
という快感わかぬするめを途中で呑みこみ、消化不良が食道をさがって
いくのを不安げに意識しながら、口に残った旨いともまずいともいえぬ
化け物の味に茫然としている。
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そこに何か哲学みたいな想いが含まれているような、ないような。
だけど、次第にするめの身になってしまう。
上部の画像をあらためて眺めると、それが次第にするめに見えたりして。
つまり、作者はピンからキリまでするめの身になって、あるいは味わう人になって編み出した詩作とも感じられます。
熟読させてもらい感謝。
この建造物、前から気になっているんですよ。
いきなりむき出しの姿を曝しているようで・・・。
デザイナーは、近未来のかたちを展望台に託したのでしょうか。
噛めばかむほど味の出てくる複雑な愛の姿。作者の茶目っ気が心地よく伝わってきてニヤリ。
ところでこの写真ですが、展望台ですか。
面白い構造ですね。何か特別の仕掛けでもあるのでしょうか。
昔の騙し絵にこんな感じのがあったような・・・。
富津は20年ほど前取材でうろつき回ったことがありますが、当時はこういうものはなかったような気がします。
炭火の上で反りかえった奴を手で割いて、醤油とかマヨネーズをつけて食するのは庶民の楽しみだった。
おっと、画像についてですが、各階フロアに人がいるのでたぶん展望台だとおもいます。
別の角度から見ると、騙し絵になっていたりして・・・・。