ユリ
「夏の匂い」
一杯の水が喉の渇きをいやすように
あなたのまなざしは
ぼくの心をうるおした
遠い夏
あの日の空を想い
いま千切れ雲に
通りすぎて行った青春の足跡をみる
セミの輪唱は祈りのように続いている
間隙をぬって
あなたの笑い声が転がってくる
空へ向かって深々と昏倒したぼくに
風が軽やかな眠りを運んでくる
山清水に触れたサワガニのように
ぼくは青い目覚めをもった
カマキリのように首をもたげて
夕闇の匂いを嗅いだ
去っていく季節の気配に耳を澄まし
暮れ急ぐ山間の草はらに立ちつくす
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「夏の匂い」
一杯の水が喉の渇きをいやすように
あなたのまなざしは
ぼくの心をうるおした
遠い夏
あの日の空を想い
いま千切れ雲に
通りすぎて行った青春の足跡をみる
セミの輪唱は祈りのように続いている
間隙をぬって
あなたの笑い声が転がってくる
空へ向かって深々と昏倒したぼくに
風が軽やかな眠りを運んでくる
山清水に触れたサワガニのように
ぼくは青い目覚めをもった
カマキリのように首をもたげて
夕闇の匂いを嗅いだ
去っていく季節の気配に耳を澄まし
暮れ急ぐ山間の草はらに立ちつくす
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青春の夏のワンシーンがギュッと閉じ込められたように儚くも美しい。
言葉が磨き抜かれていることにもよるのでしょう。
たとえば、〈青い目ざめを〉なんて表現が胸に跳ね返ります。
ついでながら、画像の可憐な白百合の周りに生えているのは、紫蘇ではないでしょうか。
摘まんで匂いを嗅ぐと、青い時代が思い出されますよね。
小説では許されないことばに、いまだ引きずられている大元を、晒しているわけです。
なお、百合の周りの植物については、紫蘇だったかどうかはっきり覚えていないんですよ。すみません。