どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム322 『王様の耳はロバの耳』異聞

2022-03-21 01:22:22 | ポエム

はじめに イソップ物語の一つを思いだしてください。

<あるところに、ひとりの王さまがいました。

王さまはいつも深い帽子をすっぽりとかぶり、人前で取ることはなかった。

なぜかというと、王さまの耳はロバの耳だったのです。

他の人に見せるわけにはいきませんでした。

その秘密を知っているのは、王さまの髪を切っている理髪師のみ。

もちろん王さまから口止めをされているので、理髪師は誰にもしゃべることはなく自分の胸の内に留めていました。

しかし、秘密をずっと抱え続けるのは苦しいもの。

話したいけど話せない日々を送るうちに、理髪師は病気になってしまうのです。

理髪師が医者を訪れると、「抱えている秘密を打ち明けることで楽になる」と言われます。

そこで理髪師は、井戸に向かって「王さまの耳はロバの耳!」と叫びました。

しかしその井戸、なんと国中の井戸と繋がっていたのです。

理髪師の声は井戸を通じてあちこちに届き、「王さまの耳はロバの耳」という噂が瞬く間に広まってしまいました。

もう秘密を隠しとおすことができなくなった王さま。

帽子を脱ぎ、自分の耳がロバの耳であることを民衆に明かします。

その時、「民の声がよく聞こえるように、このような耳をしているのだ」と言ったことから、民衆は王さまを怖がることはなく、これまで以上に信頼するようになったそうです。>

 

うん、うん いい話だよね。

でもね、こんなふうに聞き分けのいい王様はあまりいないんだ。

こどものころ読んでいたはずなのに、最後まで自分がロバの耳であることを隠そうとする。

国民は王様の正体を、みんな知っているのにさ。

困ったね。

井戸の声を聴いた国民が、悪いんだって・・・・。

聴いちゃダメって命令したのに、それを破って聴いたことが許せないっていうんだよ。

そういうわけで、イソップ物語を書き換えろってさ。

不幸だね。

それで、その王様どうなったのかね。

 

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