昨年の暮れから正月にかけて観たテレビ番組の中で、一番印象に残っているのは、テレ朝系の『天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間 ~天空に佇む12の村~』である。
昨年3月に反響を呼んだ超大型ドキュメンタリーの第2弾で、今回は、第1弾で最強のコンビネーションを見せた「ナスD」こと友寄隆英ディレクターと辺境ディレクター「大谷映芳氏」のタッグが、ヒマラヤの秘境に佇む12の村をめぐった作品である。
ご覧になった方も多いはずだから、ぐだぐだとなぞるのはやめるが、この「ナスD」の存在には、何年か前から驚かされていた。
漫才コンビの「U字工事」を引き連れて南米アマゾンを遡り、文明との接触が少ないシピポ族との出会いを取材した「アマゾン編」では、濁った河で釣りあげた川魚を、生のまま頭からバリバリ食べる姿に度肝を抜かれた。
また、シピポ族が入れ墨に使うという植物の汁を顔に塗り、何時間か後には顔も手も紫色になり、「こりゃ、一生取れないかもしれない」とうそぶく肝の太さに、呆れかえったものである。
その後も、「無人島シリーズ」が、深夜帯を主戦場に放映されていた。
夜の海で、眠る間もなく魚を取り続ける「ナスD」の強靭な体力には、この男ほんとに人間なの? と、目を剥いたものだ。
また、断崖と岩礁を結ぶロープにサメ釣り用の仕掛けをつけて、餌でサメをおびき寄せる企画は、まさに「破天荒」の面目躍如だった。
ディレクターといっても、主演は本人である。
他の誰にもできない企画を、自分が命懸けでやり通す。
オーバー過ぎる表現と思われるかもしれないが、一度でも観た方は納得してくれると思う。
まあ、事前の知識や、緻密な計算があってのことだろう。
アマゾン奥地では、薬の服用など、感染症対策もぬかりなかったはずだ。
しかし、現地の強アルコール度の発酵酒を、意識を失うまで飲む破天荒な生きざまは、奥地の少数部族の間でも特別の信頼を勝ち得て、以後の取材をスムーズに運ぶ効果があった。
そして、今回の『天空のヒマラヤ部族』というドキュメンタリー。
標高5000メートル超えのネパール・ドルポ地方の高度に順応し、そこで暮らす人々の日常を、1年以上にわたる長期の密着取材で撮影したものだ。
ネパールやチベット、それに中国の一部を含むヒマラヤ高地でしか採取されない「冬虫夏草」の生映像(地中から掘り出すところ)も見せてもらった。
チベット高地で取材したことのある友人(作家)の話では、慣れない人は、たちまち高山病にかかるほどの過酷な環境らしい。
ナスDは、強靭な身体能力と精神力を合わせ待つ、桁外れの日本人だ。
普通の人間から見れば「破天荒」に映るが、原始時代から生き延びてきた遺伝子は、稀にこうした人間を生むのだろう。
稀なる男が、テレビ界に出現した幸運を、素直に享受したいと思う。
「ナスD」ありがとう。
テレビの可能性は、まだまだ残されている!
(了)
残念ながら、ナスDさんなる方についても、彼の制作したドキュメンタリーについても、全く知りませんでした~~ 今後、アンテナを張ってみようと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
きのうと変わらないことが、安心につながっているような・・・・。そんな新年でした。
キー局との関係で、見られない番組があるのかもしれませんね。
でも、ナスDの番組は、YouTubeでも見られるはず。
最新の「天空のヒマラヤ・・・・」は無理でも、「アマゾン編」は制作側から提供されています。
よかったら、ぜひご覧になってください。
おめでとうございます
>『天空のヒマラヤ部族・・天空に佇む12の村~』
自分も途中まで見ました。
ビデオにとってますから
続きを見るのが楽しみなってきました。
今年もよろしくお願いします
今、我が家にはテレビが有りませんので映像で観る事は無くなりましたが
以前、ヒマラヤの奥地を取材したドキュメントを何度か観た事が有ります。
現在お幾つなのか判りませんが私が夢中で観ていたのは多分、大谷氏が30~40代の頃だったかもしれません。
一度、哲子の部屋にも出演された事が有りましたよね。
ワー、何だかとても懐かしい。
さっそくユーチューブで探ってみたいと思います。
途中まででも観ましたか。あとはビデオでゆっくりと・・・・。いいですね。
今年も山の様子、見せてくださいね。
そうですか、大谷さんのドキュメント映像をお持ちなんですね。
ナスDが、いかに勇敢でも、ヒマラヤに精通している大谷さんのサポートがなければ、この長期取材は無理だったでしょう。
みなさん山歩きの方は、よくご存じで。
今年もよろしくお願いいたします。