梅雨が近づくと わたしの心は乱れる
あれもしたい これもやりたい
胸の奥から伸びてくる 紫色の欲望が
空を掴んで 悶えているようだ
見てごらんよ あのアガパンサスを
通りすがりの女たちが わたしを指差す
もの欲しげに 色目を使っているんじゃないの
湿った笑いが 梅雨前線を連れてくる
なにを言われても わたしは平気
心のままに 欲望のままに
好きな男には 好きといえばいい
後ろ指さされようと わたしは紫君子蘭
奔放なわたしが 気に入らないのね
ふしだらと非難はしても 羨望で心が青ざめる
欲望を隠して生きてきた たくさんの日々が
間尺に合わなかったと 愚痴をこぼすのね
樋口一葉も 与謝野晶子も
抑えきれない激情に 身を灼かれた
岡本かの子も 松井須磨子も
夏の嵐に 吹きさらわれた
華奢な花茎の先に 青紫の線香花火
海をわたって届けられた 恋の贈り物
だけど花弁の先には 惑いの色
新たな花言葉は 永遠のツミツクリ
梅雨のさなかに わたしは狂う
花弁をつたう雨滴に 心が身震いする
あれもしたい これも欲しいだって・・・・
非難した女たちにも わたしの紊乱が乗り移る
(2016/01/08より再掲)
参考画像= 〈アガパンサス〉
〈季節の花300〉より
たしかに画像がないとわかりづらいかもしれません。
もともとは画像とセットで発表したものですが、再掲の際に言葉だけでどこまで表現できるものか試しているところです。
花を題材にした詩は、やはり画像があるといいかも?
とりあえず、アガパンサスの花を本文下部に入れておきましたので、ご覧ください。
残念ながらというか無知の故か、その花を見たことがないんです
残念です