どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム161 『紫鷺苔とチルチルミチル』

2017-06-09 01:25:02 | ポエム

 

     紫鷺苔

 

 

 

  ムラサキをもう少し使ってもいいですか

  ムムの庭に高貴な色を配したいのです

 

  紫鷺苔のムムが駄々をこねてぃる

  何が不満なのか地べたに寝転がってジタバタする

 

  むらさきはムムの憧れなのです

  心の渇きはムラサキでしか癒されないのです

 

  5月の花は紫色の大盤振る舞い

  あやめも紫華鬘もストックもみな風を染めている

 

  ムムも紫をまとって優雅に咲きたい

  衣擦れの音がひそむ夜のしじまに同化したい

 

  ムムよ お前はムラサキに染まっているではないか

  メーテルリンクの寓話をもう忘れてしまったのか

 

  チルチルミチルは青い鳥をさがして彷徨った

  「散る散る」だけではイヤ「満ちる」が欲しいのだ、と

 

  だからといってムムは悟りから遠すぎないか

  これ以上ムラサキを欲しがるのは見苦しいよ

 

  墨染の法衣だけでは質素すぎます

  紫衣をまとった高僧の読経で帰依したいのです

 

  なんと諦めの悪いムムだろう

  白とムラサキの融け合う絶妙な色を手にしながら

 

  紫鷺苔などというぎごちない名称がすべての始まり

  せめて枯れた後の戒名は紫居士とつけて下さい

  

 

  

 

  

 

 

 

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2 コメント

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紫鷺苔の本音は (tadaox)
2017-06-15 00:42:01
(塚越和夫)さま、懇切な解説をいただきありがとうございました。
馴染みの薄い植物でしたが、紫色の濃淡が生育環境のちがいによる個体差と知り、納得がいきました。

詩では、ムラサキサギゴケが欲張りのように書きましたが、鷺苔の本音はどうなのか、ちょっぴり聞いてみたい気がします。
今回もお世話になりました。
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中途半端な紫色 (塚越和夫)
2017-06-14 14:58:05
こんにちは、いつもお世話になります。

よく似ている「トキワハゼ」は自宅にも生育していましたが、この「ムラサキサギゴケ」は普段あまり見かけられません。
花の形が鳥の鷺(サギ)に似て苔(コケ)のように地面を這い紫色の花を咲かせることからこのように名付けられたましたが、単に鷺苔(サギゴケ)と呼ばれている場合もあり、また花色の違いから、特に白花のものをサギゴケあるいは鷺芝(サギシバ)と呼ぶ場合もあるようです。
またとくに、紫よりも明るいピンク色の品種をモモイロサギゴケと呼ぶ場合もあるそうです。

草丈10cmから15cmを有する本州、四国、九州に分布する在来の多年草で、一般には水田の畔などのやや水分の多い環境で生育するともいわれていますが、日照が不足する環境では開花は少なくなるとされています。
日本のみの固有種ではなく中国、台湾などにも生育していますので、ことによりますと有史以前に遡る時代の帰化植物の可能性もあるのかもしれないなどと考えております。

この画像は今年のみどりの日に訪れた小石川植物園の日当たりのよい標本園で撮影したものです。しかし実はもう少し半日陰のような林床や林縁などが相応しい生育環境であると思い込んでおりました。図鑑などの情報では湿り気のある環境を好むとされていますが、標本園はどちらかといえばやや乾燥気味の環境でした。一方で陽当りを好むともされていることもあり、この時は隣合っているウンランなどの生育場所のみならず通路部分まで元気に匍匐前進を行いその繁殖の領域を拡大していました。植物であることから生きるためには光合成が必要なので、一般に太陽光を好むことは自明の理なのでありました。
なお紫色の色合いの濃淡つきましては、生育環境の相違による個体差が大きく影響しているようですので、これからも機会があれば観察を続けてまいりたいと考えております。

今回もご利用いただきましてどうも有難うございました。
梅雨に入りましたが、しばらく蒸し暑さと梅雨冷が同居しているような天候が続いております。
どうかよろしくご自愛くださいませ。
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