「タコが旨いですよ」と店の大将に勧められる。なかなか柔らかくていいタコだったぞ。
さて、あとから入ってきたご老人、両手にスキーのストックのような杖をかかえて
10cmの歩幅に一歩10秒はかかりそう。小樽レジェンドが後光のように射している。
そのうち俺にどこから来たのかだの、小樽は初めてか、などと話しかけてきた。
大将が何度も「社長」と呼ぶので、聞いてみると本当に社長。キャバレーの「社長」
ではなかった^^; お吸い物に浮かんでいる「麩」の会社だそうです。子供の頃、
駄菓子屋で食べた「フ」ですか、と聞くとそれも作っていたそうで。
3代続いた会社だというので、「もう次世代に任せたのですか」と聞くと、ニャンドだ
現役!「息子には継がせない。俺の代で終わりだよ」というので、「息子さんは何を
してらっしゃるのですか?」と聞くと、嫌な顔をして「ゲームやってるよ」ときたもんだ。
どうみても80はゆうに過ぎているので、息子は中年を過ぎているでしょうに…w
このズィ~サン、「むかし東京に行って、新宿で裏ビデオ買ってきたんだよ」と
自慢する。「そしたらみんなに見せてくれ、と頼まれたので、コピーしてやったんだよ。
それで80万儲けた!」ときたもんだ。いったい小樽の何人の人が、その同じビデオ
を見たのでしょうか。ちなみに頼んだ人は、女性も多かったそうです…w
そのうち社長にすっかり気に入られてしまった。そしてカウンターの一番向こうから
俺の隣に席を移ってきた。楽しそうに話ながら、何度も握手を求めてくる。そして
ヨタヨタしながら10分おきくらいにトイレへ行く。また握手されるのだが、トイレに
行ったあとも手はカサカサに乾いていたような… _| ̄|〇 濡れてても微妙だが…
この若いのにビール!(あちらから見れば若い)
いや、酒を飲んでらっしゃいますよ…。 と大将。
んじゃ酒を注いでやってくれ!
いやさっきおかわりして、まだ残ってらっしゃいますよ…。
いーから注いでやってェ!
・・・しかたなく一気に飲み干して、またナミナミと注いでもらう。気持ちですしw
ちなみに、この社長、最初に入ってきたときに「寿司折りを土産用に、一番安い
やつを頼むよ」と注文していました。「あまり裕福じゃないのかな」と思ったり
しましたが、3代続いた立派な会社を継ぐことなく、ゲームばかりをやっている
不肖の息子に持っていってやるためだから、一番安いやつだそうです。
なので最初に酒を奢ってもらうのも微妙にためらわれましたが、ホントの社長だと
わかってからは遠慮なく飲むことに。
ま~なんだか小樽の歴史、社長の若い頃の話だのをいろいろ聞きました。
あまり間をおかずに「酒を注いでやってくれ!」というので、そのたびにあるやつを
飲み干すもんだから、さすがに酔っ払ってくる。いったい何杯飲んだんだ?
そのうちタクシー会社の名刺を大将に渡し、「こいつを呼んでくれ!」と指示。
(特定のタクシー会社ではなく、特定のドライバー指定なのである)
「いま食事中だそうですが…」と言われると、「じゃあ他のやつでもいい!」と
困ったジイちゃんだねえ…。
タクシーは5分もせずにやってきて、俺と大将は無事社長を乗せてお見送りを
したのでした。ふたりして店に戻るとき、大将は「社長、これから違う店に行くん
ですよ^^」とつぶやく。次は夜の蝶かぁ~。(繁華街は広くないし、すぐ近くな
気がするw)
店に戻ると大将はすぐに俺のコップに酒を注ぐ。「次の一杯も、もらっちゃってる
ので…」ときたもんだ。一升瓶の半分はゆうに超えてるぞ…w