さきち・のひとり旅

旅行記、旅のフォト、つれづれなるままのらくがきなどを掲載します。 古今東西どこへでも、さきち・の気ままなぶらり旅。

壊滅した田老 2

2015年09月12日 | 東北シリーズ



田老では、市の観光協会に「学ぶ防災」の予約をしておきました。主だった場所を
語り部に案内して頂き、津波の映像を見るというツアーです。

私ひとりでも受け付けて頂き、電車の到着に合わせて駅に迎えに来てくれました。
駅前に集合場所と地図があったのですが、何もなくなっているので間違いようがない。
「語り部」というと原爆や沖縄などの老人を思い浮かべていたのですが、若い青年
でした。まだ何年も経っていないんですからねェ。

さて画像は防潮堤の残骸。ここ田老の防潮堤は、世界最強で「万里の長城」とまで
呼ばれていました。なのに東日本大震災の津波で、あっさりと全壊したのです…。



哀れな姿の跡だけが残っているのです。



防潮堤の上に昇ると、整地が進んでいました。ここらはすべて家屋がぎっしり並んで
いる町だったのですよ。野球場などになるとかw



360度、どちらを向いても広大な平地です。ここが街の真ん中だったなんてw



案内してくれた語り部の青年は、そのとき命からがら逃げ出して助かったという
話をしてくれました。



さてポツンと立っている大きな箱、あれが唯一残った「たろう観光ホテル」です。



震災直後は、こういう姿で残っていたのです。(これを見たかったのに補修中ww)

このツアーの目玉は、このホテルの社長さんが最上階から撮影した津波の映像を
見学するというものです。そのビデオは一般には公開せず、ここだけで見せている
のだということを、私は新聞で読んでやってきたわけだ(゜益゜)w

以前はここの6階の撮影現場で上映しておりましたが、いまは特設会場になって
います。私ひとりで拝見。。。

社長さんは全社員を山に避難させ、自分ひとり残って最上階のベランダから撮影
したそうです。では私の説明でその様子を…(^益^;

視線は高い6階から。目の前には田老の町で、家屋がぎっしり並んでいます。その
向こうは高い高い防潮堤の灰色の壁。つまり街から海は見えず、この高い位置からは
向こうに広がる海が見えるのです。

地震のあと、津波警報が出ており、湾の向こうから信じられない高さの津波が
ドバーン!としぶきをあげて見えてきました。ずっと遠くなのに、すごい高さ!

だんだん迫ってきますが、防潮堤のこっち側は実に平穏。おばーさんがてくてくと
歩いており、かたまっている人影も見えています。

撮影しながら社長さんが、大声で「おばーちゃん、津波が来てるよー!」と大声を
あげますが、事の重大さがわからないようで、のんびりしているように見えます。

ざばー!っと津波は防潮堤にぶつかり、一気に乗り越えて大波の濁流が街を
襲います。マッチ箱を並べたところに、洗面器一杯の水をざっとぶっかけた様子を
想像して下さい。全滅は数秒間のことでした。

ここで社長さんは腰を抜かしたようで、何秒間か天井が映ります。そして下に目線が
戻ると、6階の高さだったというのにすぐ下に黒い海面。まるで船で浮かんでいる
ようだったといいます。水面は3階を超えているのですから。街全体がぜーんぶ
沈んでしまったのです!