こちらが3人部屋(6人になっちゃうよ)だというのに驚いた暗黒街の女帝は「それなら女の子の部屋に行きなさい」という。どこに連れて行かれるか、わかったものじゃないだろう。いま自分たちがどこにいるのかもわからないのだ。3人で相談しようにも、相手は日本語がわかり、英語も通じてしまうようだ。聞かれたくない都合の悪いところは、お互い韓国語で話している。絶体絶命のピ~ンチ!
そこでしかたなく、こちらは窮余の策に出た。
どぼろぼするべか?(わたしの発した言葉です)
えっ何言ってるの?(チョゴリたちは、突然意味のわからない言葉が出たのに驚いた)
なんでもナイナイ ^^;(こちらも苦笑いだ)
とぅをにくわく、どぅわっしゅつするふぉうふぉうをきゃんがえにぇば。
ぬわにいわりぇても、きゃえちてってゆーちきゃにゃいだろべっちゃ。
苦しい会話が交わされているとき、変装メガネのおやじが隣の女性にささやいているのを、わたしは聞き逃さなかった。
トイレで部屋番号を教えるから…
あやつはまもなくトイレに立ち、隣の女性もさりげなく後を追った。しかし人のことを気にしている場合ではない。こちらはなんとか脱出せねば、と対抗した。しつこく迫る怒涛の攻撃も、必死のディフェンスに力尽きたか、恐るべき宴会はついにお開きを迎えることになったのである。雰囲気はガラリと変わった。にこやかだった女性たちも、「チップをください」というときの顔つきは、本性が丸出しになっていた。友人のひとりは、サイフから札をむしられそうになっていた。
外では送迎用のワゴン車が待っていた。旅行会社の女性に「こんなところだったら先に言っておいて下さいよ」と文句を言うと、すまなそうに「言えなかったんですよ」と詫びていた。この若い案内のお嬢さんも気の毒である。
4人が乗り込むと、宴会場でおやじの隣に座っていた女性が、普段着に着替えて乗り込んできた。せっかく我々に隠そうとしていたんだから、別にタクシーでも乗ればいいのにねえ。来るときのおやじの能弁はどこへやら、ホテルに到着するまで、車内で長く気まずい沈黙が流れたのであった。
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