心理カウンセラーをしている知り合いは、王子様の話し方には発達障害の特徴が見られると
言っていました。この作品は広い砂漠の真ん中で主人公が王子様と出会い、やりとりが
始まりますが、たしかにその会話はなかなかかみ合いません。
最初に王子様は主人公に「羊の絵を書いて」と要求したのでした。
それにしても・・・君はここで何をしているんだい?
ねえ・・・羊の絵を描いてよ。
主人公はいろいろ聞き出したくても、王子様はなかなか答えてくれません。
王子様はあれこれと質問するくせに、こちらの質問はいっこうに耳に入らないらしい。
王子様は自分に関心のあることにはとてもこだわりますが、相手の気持ちを汲んだりすること
はできないようです。コミュニケーションでの配慮が欠如して、特定の物事に対する過剰な
こだわりを見せる様子などは、社会生活での問題が生じたところで顕在化する「発達障害」と
定義されるものを連想させる、というのもわかりますね。こりゃまた「ケアラー」とは大違い
です。
小説の登場人物に対して、読者は自分の知識や経験に照らし合わせて感情移入することが
あるようです。つまり人間にはいろいろな面があるわけで、王子様には「ケアラー」の面も
あるし、「発達障害」の面も持っている。そして読者は自分の関心のある面や共通点などに
注目するので、その解釈は自分を映す鏡となるわけです。
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