というわけで、私が王子様に見るのは、「旅人」です。旅人というのは自分が住んで
いるところから移動して、自分が社会的に組み込まれていない場所にやってくる
「アウトサイダー」であり、「観察者」です。他所から考え方や価値観の違う人間が
やってきて、とある場所の人間を眺めると、とても新鮮に見えます。そこに住む人間が
あたりまえだと思っていることが、とても不思議でおかしなものに見えたりするわけ
です。
王子様はバラのいた自分の星を去って、いろんな星を巡ります。最初に行った星には
王様がいました。次はうぬぼれ屋です。権力に固執したり、崇拝されることにとらわ
れていたりします。商人は金儲けがすべてで、点火夫は公務員のようにひたすら
自分の仕事に没頭しています。みんな限られた自分の生活圏の世界観だけで生きて
おり、特定の価値観に埋没した人生を送っています。王子様から見れば、みんな
「わけがわからないな」という存在です。
酔っ払いは、私が若干親近感を覚える人物です。王子様が「どうしてお酒を飲むの?」
と聞くと、酔っ払いは「忘れたいからだ」と言います。「何を?」と聞くと、
「恥ずかしいことだ」と答えます。「何が恥ずかしいの?」と聞くと、「酒を飲む
ことだよ」と答えます。
ここが私と違うところですねー。私は酔ってとても恥ずかしいことを数知れずやらか
してきましたが、酒を飲むのはそれを忘れるためではありません。むしろ忘れるから
また飲んじゃうんですー。
最後に会ったのは学者です。王子様は、ようやく少しまともな人がいた、と思います。
しかしこの学者は地理の専門家なので、山や海には関心がありますが、王子様が
大切に思う一輪のバラには関心を示しません。この人も狭い価値観のなかで生きて
いる人なので、王子様は理解できないのでした。
王子様は地球にやってきて、孤独を味わいます。5千本のバラを見て悲しくなって
しまいました。それを目の前にして、たったひとつの特別のバラの大切さに気づいた
のです。
旅をしながらの様々な出会いを通じて、王子様は自分にとってほんとうに大事なもの
を見つけます。それは宝探しのようにいろんな場所を探して見つけ出すのではなく、
いろんな出会いを通じて、目に見えない、自分の心の中にあるものを見つけたの
でした。
さて来年になったら、また旅をしないとなあ。。。
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