人工的なウィルスの増殖により、人類のほとんどが死滅し、わずかな免疫体質の者達が生き残り孤独な生活を送っているという設定。死滅を免れた多くの人間達も狂犬病のように精神を犯され、紫外線を避けた闇の世界に生きており、軍関係の研究医をしていたウィル・スミス演じる主人公は、彼らや全人類を救うべく愛犬とともに孤独な闘いを続けながらも、その凶暴な勢力との生き残りを掛けた確執や殺戮も描かれていきます‥‥。
見終わっての漠然とした感想は、何の問題解決にもなっていないエンディングに、中途半端な違和感を覚えたことでした。だいたいこのようなSF冒険活劇的なテーマの映画は、最後には問題が解決されてスッキリした終わり方をするものです。『I AM LEGEND』の場合はそうではなく、全人類の危機に対してわずかな光り程度の示唆をするだけで、これからも続く多くの困難や悲劇などが余韻として残るエンディングになっています。しかし、そのことがこの荒唐無稽なドラマにリアリティーを与えていることも感じました。
例えば、鳥インフルエンザやSARSといった新たなウィルスの蔓延が現実味を帯びている中で、単純な全面解決のようなうまい話は現実的ではないでしょう。世の中のほとんど全ての問題は複雑で多くの利害が絡み合う困難なものと言えます。ただその複雑な困難さにも、光の方向を目指して生き残っていく努力や思考が大切だと思います。
DVDパッケージの帯の「衝撃の別エンディング版‥‥」というコピーが気になっていますが、それは未だゴールデンウィークの楽しみに取っておきます。