続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

逢いたいね!

2013-08-10 06:30:29 | 日常
 年月というものは否応なく過ぎて行く。仕事仲間だった牧野さんがなくなって十年は経ったと思われる。あの暑い夏の日、親友だった杉本さんと二人、あの坂を上って行ったことだけをはっきり覚えている。

 仕事が激減し、「お父さんの年金頼りよ」と、淋しく笑った牧野さんの横顔・・・公務員だったのにTVの仕事がしたいからと転職。日参したけれど、TV局からは「募集がないから」と。


 製版業・・・仕事は早くて丁寧、そつなくこなし、外注になっても月/50万に届くほどの稼ぎ。
「すごいね」というと、「夜も寝ないから」と驚愕の返事。
 たまに外注仲間が鉢合わせすると、あちこちの会社の状況や近況を話し合うこともあった。
「A社は危ない、ユウテ(融通手形)切っているらしいわ」
「B社もね、社長が『夜眠れない』って言っているわ。借金で首が廻らないのよ。パートのおばさんにまで『金を貸してくれ』って、ありえない話でしょう」
「わたしたち、どうなるのかしらねぇ」
「・・・」
 この会話以降、顔を合わせることもなく、仕事仲間とはそれぞれ不明状態が続いている。
 ただ一人連絡しあっていた牧野さんに先立たれ、年賀状で細いつながりを保っていた関さんも、数年前に他界。


 その牧野さんの友人の杉本さんとは年に一度の電話。(十年も経ってうっとおしいかも知れない)と思いながら、それでも命日になると電話。
「今度、会いましょう」どちらからともなく出された提案。(えっ、いいの?)

 日の出町駅から歩いてきた杉本さん、髪を金髪にし、ガガ風なスタイル。(この人とは深くて渡れない川があるな)と思ったほどの美形、異端。

 その杉本さんが先日、段差もないようなところで転倒したと聞いて
「長い足も上がらないことがあるんだ」とすっかり共感。
「でも、わたしなんか、階段を四つん這いになって上がることもあるわ」と、膝の悪さを強調しフォロー。

「きっと、○○で逢いましょうね」
「それまで生きていたらね」と、彼女の返事。
 お互いもっと年を取り、外出不能になる前に是非、ぜひ!お逢いしましょう。

『ポラーノの広場』54。

2013-08-10 06:12:54 | 宮沢賢治
山羊はあちこち草をたべながら向ふに行ってゐました。百姓はファゼーロの行った方へ行きわたくしも山羊の方へ歩きだしました。山羊に追ひついてから、ふりかへって見ますと畑いちめん紺いろの地平線までにぎらぎらのかげろふで百姓の赤い頭巾もみんなごちゃごちゃにゆれてゐました。


☆散(ばらばらにする)要(かなめ)は、双(二つ)の講(はなし)であり、飛躍した章(文章)の考えの講(はなし)を包んでいる。
 散(ばらばらにする)要(かなめ)を部/区分けすると、太陽の曜(かがやき)が、終(死ぬこと)で現われる。
 将(況や)並んだ千(沢山)の飛躍(踏むべき順序を飛び越えてしまうこと)した釈(意味を解き明かす)は、等(平等)という金(尊い、貴重)である。

『城』1359。

2013-08-10 05:58:23 | カフカ覚書
 すでに輪郭のぼやけはじめていた城は、いつものように静かに横たわっていた。Kは、死路に生命が動いているというかすかな気配すらこれまで一度も見たことがなかった。

 城/Schloss→Schluss/終末。
 一度も~ない/niemals→nie Mals/決して~ない、傷痕。

☆すでに概略を解きはじめていたKは、城(終末=死)に生命が動いているというかすかな徴候である傷痕を全く見たことがなかった。