続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『秘められたる音』③

2017-06-27 06:34:49 | 美術ノート

 『秘められたる音』

 秘められたる/secret、隠れていて見えない、有るけれど認識不能である。
 この作品を見て(どこに?)と問い、(紐の玉の内部)しかないのではと勘ぐる。見えない箇所は紐に包まれた内部しかないからである。非常にしっかり巻かれた紐は解けないように結ばれている。(人の手をもってすれば簡単に解ける紐という素材であるが)
 それを上下から真鍮板(金属)が圧迫しているように見える。(床から持ち上げられているが天上からは押さえつけられいる)
 移動不可に見えるが、紐という柔軟性を持った素材なので、四方の開放(出入り自由)により、紐の玉の存在は解放自由の許容がある。
 不自由(拘束)に見えるが、自由(解放)されている。

 真鍮板(金属)と紐の玉(植物繊維)の接触があるとしても非常に低音であり、静止状態に音は発生しない。しかし微かに動いても何らかの音のエネルギーは発生するかもしれない。
 圧縮された物から発生する微音はこの作品を見る限り、無いに等しいほどの超低音にすぎないのではないか。

 正しく『秘められたる音』である。
 乱れることなく整然と巻かれた紐は、上下の真鍮板(金属)に挟まれている。
《動けないか?否、どこへでも出奔可能な柔軟性と解放された四方の空間がある》わたくし(デュシャン)は自由なエネルギー(音)を秘密裏に有している。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)


『水仙月の四日』77。

2017-06-27 06:21:07 | 宮沢賢治

「さあ、もうそろそろやすんでいゝよ。あたしはこれからまた海の方へ行くからね。だれもついて来ないでいいよ。ゆつくりやすんでこの次の支度をして置いておくれ。ああまあいいあんばいだつた。水仙月の四日がうまく済んで。」


☆皆(みんな)法(神仏の教え)の講(話)である。
 頼る字の詞(言葉)による図りごとの質(内容)である。
 推しはかる選ばれた月の姿は仮の祭りである。


『城』2678。

2017-06-27 06:09:44 | カフカ覚書

もちろん、わたしが知っているのは、村にいるときの従僕にすぎません。あの人たちは、お城ではまったく別人になってしまって、もうだれにたいしても知らん顔をしているでしょう。


☆もちろん村(死の入口付近)の死人たちにすぎません。お城(本当の死)では完全に別なものになってしまって、たぶん来世(冥府)では気づく人はいないでしょう。


少しづつ…。

2017-06-26 07:25:15 | 日常

 少しづつ、まさに薄紙を剥がすように左足の浮腫が退き始めている。
 6月8日の初診から飲み始めたイグザレルト錠の確かな効力。ほっといても治ると一日延ばしに伸ばした結果、歩行困難に陥りクリニックへ、「ここでは無理」と紹介された総合病院で《エコノミー症候群》とのご指摘。

 確かに一日中同じ姿勢で動かない生活、めったに外出しない隠遁が身体にいいわけがない。
「歩いてください、運動してください」と、医師。
「はい」返事が遅くなりましたが、今、痛感しております。この外出嫌いが修正されるとは思えませんが、努力したいと…思っています。

 今朝は100%ではないけれど、やっと・・・快調。

 つくづく70才になっていて良かった、医療費が3割から2割、これって大きい。病気よりも薬代の減額に喜んでいる〇ビなわたし。


デュシャン『秘められたる音』②

2017-06-26 06:31:41 | 美術ノート

 『秘められたる音』

 ネジ留めされた真鍮板で挟まれた紐の玉、頑丈に上下から抑えつけられ中空に位置している。保護と拘束が重なるイメージであるが、四方の脇は解放されており、取り出し(脱出)は自由である。
 重い抑圧をイメージさせる上下二枚の真鍮板は、紐の玉を束縛するような関係ではなく、単に隣接しているにすぎない。
 閉じるように見えるが、開かれている。

『秘められたる音』、見えない音の音源はどこにあるのだろう。明らかに静止し見えている物体から音を感じることはない、とすれば紐の玉の中、見えない暗所に秘められたる音源を特定するしかない。
《有るかもしれないし、無いかもしれない》秘められている…人に見せないように隠しているということである。
 全体、12.9×13×11.4㎝の比較的小さな物体は、鑑賞者の視覚にすっぽり収まる大きさである。どこにも隠れようがないほどの小さな個体(存在)。しかし、この中に『秘められたる音』があるという。

 即ち、これはデュシャン自身の精神であり、どこからも誰からも見えている、チッポケなわたくしではあるけれど、秘められたる音(主義主張)を隠しています。
 聞こえますか?聞こえる人もいるかもしれませんが、あくまでわたくしはそれ(音)を隠しております。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)


『城』2677。

2017-06-26 06:06:50 | カフカ覚書

わたしは、いまではたくさんの従僕たち、この二年間にお城から村へお見えになったほとんどすべての人たちの従僕を知っています。いつかわたしがお城へ出かけていくようなことがあっっとしても、知らないところへ迷いこんだというようなことにはならないでしょう。


☆わたしは、つまり倒れた死人たち、荒涼としたすべての大群、年ごとに村(死の入口)へきた人たちをわたしは知っています。いつか城(本当の死)に来るべき来世は外国ではないのです。


デュシャン『秘められたる音』①

2017-06-25 07:14:49 | 美術ノート

 『秘められたる音』

 音は見えない。したがってこの作品の中に音があると言われれば、あるかもしれないし、耳を澄ましても聞こえなければ音はないという認識である。
 秘められたる・・・無いように見えるが、実は有るという、否、有るかもしれないという範疇である。
 つまり、見えない対象の実証は、確認が困難である。

 ネジ留めされ真鍮板で挟まれた紐の玉、見えないのはこの紐の玉の内部だけであれば、ここに音源があるに違いないと察するが、静止した物から音は出ない。物体の振動が空気を振動させ伝わる波が音であり、真鍮板で押さえつけられた接触面の摩擦も静止状態では音を発しない。

『秘められたる音』というタイトルは、《有るかもしれないし、無いかもしれない》という観察者の心理の揺れを惹き起こし、作品との関係性を問うものである。観察者と作品の間に流れる《無の対話》こそ、物理的に聞こえない音を奏でる精神界でのエネルギー交流(振動)に他ならない。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)


『水仙月の四日』74。

2017-06-25 06:53:12 | 宮沢賢治

そして、風と雪と、ぼさぼさの灰のやうな雪のなかで。ほんたうに日は暮れ雪は夜ぢゆう降つて降つて降つたのです。


☆二つの説(話)は解(部分部分に分かれるように)運(めぐらせている)。
 化(形、性質を変えて別のものになる)の簿(ノート)を接(つなぐ)也。
 恒(常に変わらない)幸(幸福)の講(話)である。


『城』2676。

2017-06-25 06:42:24 | カフカ覚書

ことによると、あなたは、たいしたつながりがあったもんだ、と考えていらっさるかもしれません。お考えの通り、たいしたつながりではありません。


☆ことによると、多分、そうだと思います。先祖と大きなつながりがあるかもしれません。でも先祖とのつながりはないというのが本当なのです。