続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『恋人たち』

2021-11-19 06:49:32 | 美術ノート

   『恋人たち』

 白い布で頭部を覆っている二人、男と女。赤い着衣、黒い紳士風の着衣から男女の判別が可能であるが、必ずしもその見当が確かであるとは限らない。

 思いこみ、通念、二人がより添い、キスをするのを見て『恋人たち』(であるに違いない)と決定づける。しかし、それすら怪しいかもしれない)。二人を見て(たち)と複数にするのも肯けない。

 頭部(髪形、顔)には男女を決定づける要素があり、それを隠蔽すれば人間であるかもしれないという感想のみが残るはずであるが、わたしたち(鑑賞者)はすでに足りないものを補うことを学習しているため、白い布を外すことも可能である。

 そして『恋人たち』は、相手の本性を確認することなく感覚的に《愛》を錯覚する。

 写真は『マグリット』展・図録より


『水仙月の四日』51。

2021-11-19 06:25:06 | 宮沢賢治

 雪童子らは、めいめい自分の狼をつれて、はじめてお互い挨拶しました。

 雪童子=狼(大神)。
 はじめてお互い挨拶をしました。(はじめて)であるのに「こんどはいつ会ふだらう。」と言い、「今年中に、もう二へんぐらいものもんだらう。」と答えている。
 水仙月の四日にそれぞれ集まり、それぞれ再び水仙月の四日に会う、という関係。

「早くいつしよに北へ帰りたいね。」

 そして一緒に北へ帰るという。

 カシオピイア、
 もう水仙が咲き出すぞ
 おまへのガラスの水車
 きつきとまはせ

 北(北極星)を中心に回る天球、北は回帰、原点なのか。
 雪童子(大神)は《死を審議する神》であり、見えない《風/現象》である。


M『出現』

2021-11-18 07:39:49 | 美術ノート

   『出現』

 出現とは何だったのか。
 暗雲、混沌、混濁の朦朧・・・そこに漆黒の闇が菱形の赤・青・白の連鎖(チェーン)の中に現れている。他方、リングが解けて暗雲の世界に溶けだし混合を見せている。

 出現、現れたのはチェーンで囲まれた闇の方か、あるいは闇の中から暗雲が出現したのかは判らない。とにかく異世界に融合したのである。
 進行形であって、結果ではない。

 赤・青・白は何を意味しているのか。色の判別は《光=太陽》のスペクトルである。
《最初に光りありき》世界の出現の原初、ここから始まったのかもしれない。

 写真は『マグリット』展・図録より



『飯島晴子』(私的解釈)矢車草。

2021-11-18 07:16:52 | 飯島晴子

   矢車草のほかは何んにも見えない妻

 矢車草はヤ・シャ・ソウと読んで、爺、洒、争。
 ほかは何んにもは(他何)はタ・カと読んで、駄、禍。
 見えない妻はゲン・サイと読んで、現、砕。
☆爺は洒(さっぱりしていてこだわらない)。
 争いは駄(つまらない)。
 禍(わざわい)が現れ砕ける。

 矢車草はヤ・シャ・ソウと読んで、野、舎、想。
 ほかは何んにも(他何)はタ・カと読んで、詫、化。
 見えない妻はケン・サイと読んで、兼、再。
☆野(抑えがきかない)舎(わたくし)の想いを詫びる。
 化(形、性質を変えて別のものになる)で兼(二つ以上のものを併せ持つ)、再(かさねて)・・・。

 矢車草はヤ・シャ・ソウと読んで、矢・射、操。
 ほかは何んにも(他何)はタ・カと読んで、太、果。
 見えない妻はケン・サイと読んで、健、採。
☆矢を射る。
 操(上手にさばき)太(きわめて大きな)果(木の実)を健(がんばって)採(選び取る)。


『水仙月の四日』50。

2021-11-18 06:37:36 | 宮沢賢治

 野はらも丘もほつとしたやうになつて、雪は青じろくひかりました。空もいつかすつかり霽れて、桔梗いろの天球には、いちめんの星がまたたきました。

 野はらも丘もほつとしたやうになつて・・・plain(ありのままの)、丘はキュウと読んで救(救済)。
 救済も無事終わり、雪(幽鬼→死者)は青(ショウと読んで照(あまねく光が当たる=平等)、等しく光りました。
 空もすっかり霽れて(心/精神的)桔梗いろの天球には、いちめんの星がまたたきました。→無事、天の星になりました。
 救いには生のみならず、死をも救うという意味があることかもしれない。


『飯島晴子』(私的解釈)七つ星。

2021-11-17 07:20:40 | 飯島晴子

   七つ星七つよむ間の鶴すがた

 七つ星はシツ・ショウと読んで、失、笑。
 七つよむ間(七読間)はシツ・ドク・カンと読んで、質、毒、奸。
 鶴すがた(鶴姿)はカク・シと読んで、覚、私。
☆失笑(こらえきれずについ笑ってしまうこと)を質(問いただす)。
 毒(人の心を傷つけるもの)である奸(道義に外れた行い)を覚(さとる)私。

 七つ星はシツ・ショウと読んで、執、性。
 七つよむ間(七読間)はシツ・ドク・カンと読んで、質、読、換。
 鶴すがた(鶴姿)はカク・シと読んで、書く、詞。
☆執(こだわり)の性(傾向)、質(内容)を読み、換(入れ替えて)書く詞(ことば)がある。

 七つ星はシツ・ショウと読んで、疾、症。
 七つよむ間(七読間)はシツ・ドク・カンと読んで、悉、毒、艱。
 鶴すがた(鶴姿)はカク・シと読んで、確、視。
☆疾(病気)の症(兆候)に悉(ことごとく)毒(苦しみ)艱(悩む)。
 確かめて視(気をつけてみる)。

※七つ星七つよむ間の鶴すがた、って白鳥座のこと。


M『田園』

2021-11-17 06:54:43 | 美術ノート

   『田園』

 この作品を逆さにすると、田園風景が見えてくる。三本の大木と田舎道、影は低く長く伸び、日の出か日の入りかは分からないが、漆黒の闇でもある。

 掲げられた作品は二本の樹、木というよりは木の枝の宇都が並ぶシルエットが相似形に並んでいる。並んでいるというより風景を切り裂いているともいえる。
 全く同じシルエットが並ぶ…光景を遮断しているこれらは何?
 帯線のようなものは道のようでもあり地層の重なりにも見える。

 意味を捜すべきではないのかもしれない。田園=田舎というより、国の成り立ち、億年の地上の変移、(地層が逆さになっているという現実的な報告もある)大地があり、樹木があるという原風景ではないか。

 遠い、遠い、遠くからの時間の蓄積。これがわが故郷、田園風景なのかもしれない。

 写真は『マグリット』展・図録より


『水仙月の四日』49。

2021-11-17 06:31:16 | 宮沢賢治

「さあ、もうそろそろやすんでいゝよ。あたしはこれからまた海の方へ行くからね、だれもついて来ないでいいよ。ゆつくりやすんでこの次の支度をして置いておくれ。ああまあいいあんばいだつた。水仙月の四日がうまく済んで。」
 その眼は闇のなかでをかしく青く光り、ばさばさの髪を渦巻かせ口をびくびくしながら、東の方へかけて行きました。

 まだ三時にもならないのに~夜の二時まで→水仙月の四日。
 水仙月の四日がうまく済んで・・・ひゆう、非有。生を死へとうまく移行させたことかもしれない。
 その眼は闇の中でをかしく青く光り・・・青はショウと読んで、照(あまねく光が当たる=平等)、雪婆んごは死神として、平等の律を課している。
 東の方へかけて行きました・・・西から東の方、南を通らない。見えている月のありようでなく裏側(?)を回って再び東へ。(地上の人間の視覚に過ぎないけど)

 この次の支度・・・水仙の咲くころの四日月はまだあるからのコメント、まだ来月も舟の形に見える月が見える。


ホッパー『夜の窓』

2021-11-16 07:40:37 | 美術ノート

   『夜の窓』

 漆黒の闇の中のビルの一室、皓々と灯りが点る。地上の人目よりは高い位置にある硬質の建屋の窓・・・。
 右端には何か分からないが真っ赤な彩色が見え、中央の窓からは赤い布をまとった女の臀部が垣間見える。気温を示すものは無いが室内は赤い彩色のせいで暖かく見える。もろ肌脱いで寛いでいるとは思えない。

 すなわち、ここに見えるのは情念、欲情の熱気である。
 場面ではなく、予感の空気を描いている。
《誰も知らない》秘かな夜の窓である。

 写真は『HOPPER』(岩波 世界の巨匠より)


『飯島晴子』(私的解釈)かの后。

2021-11-16 07:08:25 | 飯島晴子

   かの后鏡攻めにてみまかれり

 かの后(彼后)はヒ・コウと読んで、妃、劫。
 鏡攻めはキョウ・コウと読んで、強、攻。
 みまかれり(身罷)はシン・ヒと読んで、辛、非。
☆妃を劫(脅かす)強攻(危険や失敗を恐れず無理して攻めること)する辛い非(そしり、責め)があった。
 ダイアナ妃のことである。

 かの后(彼后)はヒ・コウと読んで、披、講。
 鏡攻めはキョウ・コウと読んで、共、交。
 みまかれり(身罷)はシン・ヒと読んで、審、比。
☆披講(歌を詠みあげて披露すること)で共に交(やりとりする)。
 審(つまびらかにし)、比(並べて比べる)。

 かの后(彼后)はヒ・コウと読んで、被、稿。
 鏡攻めはキョウ・コウと読んで、胸、考。
 みまかれり(身罷)はシン・ヒと読んで、真、秘。
☆被(蔽いかぶせた)稿(下書き)には胸(心の中)の考えがある。
 真(本当のこと)は秘(人に見せないように隠している)。