続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)槙の木に。

2021-11-08 07:12:57 | 飯島晴子

   槙の木に仏現るるも冬の昼

 槙の木はシン・モクと読んで、審、目。
 仏現るるはブツ・ゲンと読んで、打つ、厳。
 冬の昼はトウ・チュウと読んで、問う、知友。
☆審(正しいかどうかを明らかにする)目(ねらい)を打つ(大いに語る、述べあげ)、厳しく問う知友。

 槙の木はシン・モクと読んで、神、黙。
 仏現るるはブツ・ガンと読んで、仏、願。
 冬の昼はトウ・チュウと読んで、禱、衷
☆神(不思議な力をもち)黙っている仏。
 願いを禱(祈る)衷(心の中)。

 槙の木はシン・ボクと読んで、身、撲。
 仏現るるはブツ・ゲンと読んで、物、原。
 冬の昼はトウ・チュウと読んで、闘、疇。
☆身(身体)を撲(なぐられ)物(亡くなってしまった)。
 原(事の起こり)は、闘いの疇(たぐい/類)だった。
 

 


M『巨人の時代』

2021-11-08 06:47:10 | 美術ノート

   『巨人の時代』

 裸婦と着衣の男、強姦が行われようとしている瞬間に見える。しかし、その場合、女の方は着衣なのではないか。つまり、不意を突かれるという意味で。女には用意がある、心づもりがある。とすると、力強く拒んでいるような手は何だろう。引き寄せているのかもしれない。

 女のシルエットのみで構成されている。いわば男は女の中であり、女を描いている。男は女の中におり、むしろ男が女に犯されようとしているとさえ考えられるのである。男は女の前で怯えているように感じるほど弱弱しい感じであり、女を襲うという荒々しさは微塵もない。

 仮に二人として、この間に愛はあるだろうか、愛の結実という肯定性は皆無である。女の太い腕、極端に力を込めた腕は男を拒否しているのか引き寄せようとしているのかは不明だが、女の強い意志は明らかである。女が男に強姦されるという一般的な考えを否定したものかもしれない。

 男は女のしもべである。マグリットの秘かな告発ではないか。

 写真は『マグリット』展・図録


『水仙月の四日』42。

2021-11-08 06:17:33 | 宮沢賢治

「おや、をかしな子がゐるね、さうさう、こつちへとつておしまひ。水仙月の四日だもの、一人や二人とつたつていゝんだよ。」

 おかしな子、おかしな死、死が曖昧で生死を彷徨っている。
 こっちは、死界(霊界)
 水仙月の四日・・・水仙が咲くころ(冬から初春)の四日(朔日の月は見えない、四日は三日月であり、死の日と読める。このころの月は地上に垂直に弧を描き舟の様相を呈している。
 西の三日月には西方極乗浄土にいるとされる慈悲にあふれた仏である阿弥陀仏が、観音菩薩、生死観音をひきつれ月に立ち、死者を迎えるのではないか。死者にとって、特別な日だと秘かに言っている。


『飯島晴子』(私的解釈)冬山を。

2021-11-07 06:50:08 | 飯島晴子

   冬山をまはつてくるは珊瑚買

 冬山はトウ・サンと読んで、蕩、散。
 まはつてくるは(廻来)はカイ・ライと読んで、塊、磊。
 珊瑚買はサツ・コ・バイと読んで、颯、己、狽。
☆蕩(だらしなく)散らばる塊(つちくれ/土などの小さな塊)。
 磊(小さなことにこだわらない)が颯(風が吹くと)、己(わたくし)は狽(あわてる)。

 冬山はトウ・サンと読んで、套、三。
 まはつてくるは(廻来)はカイ・ライと読んで、解、頼。
 珊瑚買はサツ・ゴ・バイと読んで、冊、語、媒。
☆套った三つを解るには冊(書物)の語の媒(なかだち)がある。

 冬山はトウ・センと読んで、盗、詮。
 まはつてくるは(廻来)はカイ・ライと読んで、皆、礼。
 珊瑚買はサン・コ・バイと読んで、算、個、媒。
☆盗(人の物をかすめ取る/盗作)を詮(明らかにする/調べる)。
 皆(すべて)に礼(敬意を払いながら)算(見当をつけ)個(一つ一つ)の媒(なかだち)をみる。


『飯島晴子』(私的解釈)あさましく。

2021-11-06 06:05:42 | 飯島晴子

   あさましく草水にまぎれ冬羽織

 あさましく(浅)はセンと読んで、詮。
 草水にまぎれ(草木水紛)はソウ・スイ・フンと読んで、争、衰、奮。
 冬羽織はトウ・ウ・シキと読んで、投、宇、志気。
☆詮(あきらかにする)争(競い合い)。
 衰える奮(勇み立つ気持ち)。
 投(なげだした)迂(物事に疎い)志気(意気込み)。

 あさましく(浅)はセンと読んで、遷。
 草水にまぎれ(草水紛)はソウ・スイ・フンと読んで、想、推、紛。
 冬羽織はトウ・ウ・シキと読んで、問う・迂、識。
☆遷(移り変わる)想(思い/考え)を推しはかる。
 問うことは、迂(遠回り)に識(物事の道理を見分けること)である。

 あさましく(浅)はセンと読んで、戦。
 草水にまぎれ(草水紛)はソウ・スイ・フンと読んで、争、帥、奮。
 冬羽織はトウ・ウ・ショクと読んで、統、有、職。
☆戦争の帥(将軍)は、奮(ふるい立ち)統(一すじにまとめること)を有(保つ)職(仕事)である。

 あさましく(浅)はセンと読んで、千。
 草水にまぎれ(草水紛)はソウ・スイ・フンと読んで、捜、推、奮。
 冬羽織はトウ・ウ・シキと読んで、闘、迂、私記。
☆千(たくさん)捜(探し求め)推しはかる奮闘(力の限り努力すること)がある。
 迂(遠回りな)私記である。


『飯島晴子』(私的解釈)極寒の。

2021-11-05 07:14:59 | 飯島晴子

   極寒の人朝顔の種を見せ

 極寒の人はゴク・カン・ジンと読んで、極、肝、訊。
 朝顔はチョウ・ガンと読んで、調、眼。
 種を見せはシュ・ゲンと読んで、趣、現。
☆極(この上なく)肝(重要な部分)を訊(問いただす)。
 調べると眼(かなめ)の趣(考え)が現れる。

 極寒の人はゴク・カン・ニンと読んで、獄、監、任。
 朝顔はチョウ・ゲンと読んで、凋、現。
 種を見せはシュ・ケンと読んで、主、健。
☆獄(刑務所)の監(見張りをする)任(つとめ)は、凋(生気を失い衰えること)が現れる主(人物/ぬし)の健(すこやかさ)である。

 極寒の人はゴク・カン・ニンと読んで、獄、貫、忍。
 朝顔はチョウ・ゲンと読んで、聴、厳。
 種を見せはシュ・ケンと読んで、守、憲。
☆獄(訴え、裁判)を貫(最後までやり抜く)。
 忍(耐え、我慢し)聴(注意深く聞き入れる)。
 厳しく守るべき憲(国の根本の法律)がある。


M『発見』

2021-11-05 06:51:31 | 美術ノート

   『発見』

 形、性質を変えて別のものになる・・・生きているものが死へと移行していく。
 婦人の裸身、皮膚が木目模様に変化しつつある。なぜ木目なのか、は作家自身に刻まれた記憶に因していると思う。想像の範疇ではあるが、昨日まで健在であった母親が今日は棺の中に姿を納めているという衝撃的な体験によるものではないか。

 生きていると信じているものが、すでに死んだのだと知らされ、しかも棺の中に安置されているという驚くべき事実を実体験しているマグリットの鮮明な記憶。

 生々しい肉体、母の感触・・・死!この落差を埋めるもの。棺の木目模様は鮮烈な視覚として残ったに違いない。残酷であり一種グロテスクな残像である。

「誰もわたしの作品を解釈してくれるな」というマグリットの怒りにも似た悲痛な思いがわたしの胸をかすめていく。

 写真は『マグリット』展・図録


『水仙月の四日』41。

2021-11-05 06:35:53 | 宮沢賢治

「ひゆう、もつとしつかりやつておくれ、なまけちやいけない。さあ、ひゆう」
 雪婆んごがやつてきました。その裂けたやうに紫な口も尖つた歯もぼんやり見えました。

 裂けたやうな…レツと読んで烈、精神が正しく強い。
 紫な口…紫はシと読んで、死。口はコウと読んで、孔。死の孔(入り口)
 尖った歯…尖はセンと読んで数多。歯はシと読んで、死。
 
 非有(存在にあらず、存在を消す)、もっとしっかりやってくれ、なまけちゃいけない。さあ、死へ誘導するんだよ」
 死神がやって来ました。その死の入口には数多の死もぼんやり見えました。

 


『飯島晴子』(私的解釈)男ありて。

2021-11-04 07:11:33 | 飯島晴子

   男ありてなんてんの木に泪せり

 男ありて(男有)はダン・ユウと読んで、断、猶。
 なんてん(南天)はナン・テンと読んで、納、展。
 木に泪はモク・ルイと読んで、黙、累。
☆断(ことわること)を猶(ためらい)納(受け入れる)と展(広がり)、黙っていても累(かかわり)ができてしまう。

 男ありて(男有)はダン・ユウと読んで、暖、邑。
 なんてん(南天)はナン・テンと読んで、南、展。
 木に泪はボク・ルイと読んで、北、類。
☆暖かい邑(むら)は南を展(広く見わたし)、北も類(同じよう)である。

 男ありて(男有)はダン・ユウと読んで、団、結う。
 なんてん(南天)はナン・テンと読んで、難点、転。
 木に泪はモク・ルイと読んで、目、涙。
☆団(丸く)結うのは難しい。転(ひっくり返す)と、目に涙(がっかりしてしまう)。

※男ありて難点(処理が難しい、困難な事柄)に黙って泪する。


M『女盗賊』2.

2021-11-04 06:44:19 | 美術ノート

 黒衣の人物らしきの肩は《男》に見える。しかし、女盗賊とあるから《女》なのだと納得してしまう。
 言葉と景、観念と視覚(目に見えるもの)には差異がある。言葉による洗脳は打ち消しがたく残る。見えたものは錯覚かもしれない・・・言葉と景の優位性は主観によるもので正否の決定は曖昧である。この曖昧な異空間がこの作品の時空である。

 盗まれたものは失ったものであり、現今存在を消失しているものである。
 この盗賊らしきものが開けることを拒むように手で抑えつけた箱、箱の中身への言及はなく、鑑賞者に委ねている。
 マグリットにとって大切な存在、喪失感にさいなまれ希求してやまない亡母への思いを察することは容易かもしれないが、それを拒む作家の意思も垣間見える。

 大いなる喪失、それは大いなる定め(女盗賊)によるものだった。これがマグリットが導き出した自身を納得させる答だったのかもしれない。

 写真は『マグリット』展・図録より