「円安」という筋肉増強剤を注射して、なんとかオリンピックに出られていた。ところが病気の途中で「円安」という薬が、日本の事情ではなく日本以外の国の事情によって、自分が思うような形では手に入り難くなってきたことで、日本という国に焦りが出て来た。
円が強いから「円高」になっているのでない。ドルのおひざ元アメリカが、自分のルールでお構いなしにドル札を印刷する。一方、第2の通貨として誕生したユーロもドイツ、フランスは元気だが、ユーロ圏全体としては病気である。病気の国の通貨は買えない。
菅直人首相と日本銀行の白川方明総裁が、23日、電話で協議したと伝えられる。ところが「円高」対策で具体的にアクションを取るとのアナウンスは一切なかった。日本の事情で「円高」になっておれば、それなりに手の打ちようもあろう。全てが他人任せであるから、なにひとつ手が打てないのであろう。
円買いを仕掛けている投機家の思うつぼだ。24日の東京外国為替市場で、1ドル=84円台後半、1ユーロ=107円前半まで円高が進んだ。24日の東京株式市場では、この先さらに円高が一段と進み、輸出企業の業績に悪影響が出るとの思惑から、日経ダウは、前日比121円安の9,000円割れの8,995円と1年3ケ月振りの安値で取引を終了した。
一方、24日付けのWSJ紙は、8月10日開かれた、米FOMC(連邦公開市場委員会)で、バ―ナンキFRB議長就任後4年半で初めてという激しい議論があったと伝え、17名の内7名が、現状以上の金融緩和政策に反対もしくは態度保留を表明したと出ていた。
同紙によれば、バ―ナンキという男は、メンバーに十二分に持論をはきださせ、最後は自分の意見を通してしまう。そうすることによってコンセンサスをつくり、さまざまな局面を乗り切ってきた。1930年代のデフレを2度と繰り返さないと2002年のMiltonFriedman生誕90年祭で約束した男であると紹介していた。
ワイオミング州のジャクソンホールで27~28日にカンザスシティ―連銀主催の経済シンポジウムが開催される。同会議で講演するバ―ナンキ議長が、米国が現在直面しているさまざまな状況について、具体的にどのように語るか注目されるとWSJ紙は書いていた。
問題は日本である。一国の総理が日銀総裁と会談すると事前にマスコミに流して、いかにも具体的な対策が出るかのようなポーズをとった。それも電話会談で、12~3分だったというではないか。素人考えでも、国民を小馬鹿にしたような発表で、報道自体信用できない。
こころは民にあらず。海図なき航海で、プロの船長も機関長も不在の日本丸が危ない。(了)
円が強いから「円高」になっているのでない。ドルのおひざ元アメリカが、自分のルールでお構いなしにドル札を印刷する。一方、第2の通貨として誕生したユーロもドイツ、フランスは元気だが、ユーロ圏全体としては病気である。病気の国の通貨は買えない。
菅直人首相と日本銀行の白川方明総裁が、23日、電話で協議したと伝えられる。ところが「円高」対策で具体的にアクションを取るとのアナウンスは一切なかった。日本の事情で「円高」になっておれば、それなりに手の打ちようもあろう。全てが他人任せであるから、なにひとつ手が打てないのであろう。
円買いを仕掛けている投機家の思うつぼだ。24日の東京外国為替市場で、1ドル=84円台後半、1ユーロ=107円前半まで円高が進んだ。24日の東京株式市場では、この先さらに円高が一段と進み、輸出企業の業績に悪影響が出るとの思惑から、日経ダウは、前日比121円安の9,000円割れの8,995円と1年3ケ月振りの安値で取引を終了した。
一方、24日付けのWSJ紙は、8月10日開かれた、米FOMC(連邦公開市場委員会)で、バ―ナンキFRB議長就任後4年半で初めてという激しい議論があったと伝え、17名の内7名が、現状以上の金融緩和政策に反対もしくは態度保留を表明したと出ていた。
同紙によれば、バ―ナンキという男は、メンバーに十二分に持論をはきださせ、最後は自分の意見を通してしまう。そうすることによってコンセンサスをつくり、さまざまな局面を乗り切ってきた。1930年代のデフレを2度と繰り返さないと2002年のMiltonFriedman生誕90年祭で約束した男であると紹介していた。
ワイオミング州のジャクソンホールで27~28日にカンザスシティ―連銀主催の経済シンポジウムが開催される。同会議で講演するバ―ナンキ議長が、米国が現在直面しているさまざまな状況について、具体的にどのように語るか注目されるとWSJ紙は書いていた。
問題は日本である。一国の総理が日銀総裁と会談すると事前にマスコミに流して、いかにも具体的な対策が出るかのようなポーズをとった。それも電話会談で、12~3分だったというではないか。素人考えでも、国民を小馬鹿にしたような発表で、報道自体信用できない。
こころは民にあらず。海図なき航海で、プロの船長も機関長も不在の日本丸が危ない。(了)