茨木「縄文塾」風景
江嵜企画代表・Ken
茨木神社と茨木市役所近くにある文明館2階で、俄か百姓と自称される作家、佐藤眞生さんの「動かない生き方―植物との対話」というテーマのお話しを聞く会があり、楽しみにして出かけた。会の名前は「縄文直感塾」で、この日で76回目というから年期の入り方が違う。
落葉樹林の日陰で暮らすイタヤカエデの生態の説明から、いきなり核心にはいった。下の葉にも陽があたるように葉同士が重ならない。周りの高い樹が葉を開く前に光合成してしまう。難局では自ら幹と枝葉を枯らす。地上に出ているところはリストラしても根は生きている。稚樹のままで10年でも落葉樹林が明るくなるのを待つというのである。
ガラス工芸作家として世界的にも有名な竹内洪氏も参加しておられた。出席者が、それぞれが専門分野で活躍しておられる。講師そっちのけの活発な議論が展開され、食事の後、1時から3時までの間が、あっと言う間に過ぎた。
竹内氏はしばしば教育現場にも講師として出向かれる。ある「就活」会の場で、学生に質問した。ほとんどの学生が、競争のないところに行きたいと答える。特にやりたい仕事はない。子供の時から自分で考える教育を受けていないからだろうと解説しておられた。
氏は企業の講演会にも行かれるそうだ。部長に気に入られる人間が課長になる。常務に気にいられる男が部長になる。常に上に受けがいいような連中が選ばれて社長になる。社長の上に人はいない。そんな人間をトップにいただいている会社が成功するためしがないと言われたことばが一番印象に残った。
今の日本が、食糧の自給率が急激に低下している話も出た。歴史認識として日韓100年の総括の菅総理の対応にも話しが及んだ。彼は首相になることを目標にして今まで生きてこられた。上りつめたあと目標がなくなった。その点、現代の企業トップと似ていると竹内氏は総括しておられた。
佐藤眞生さんは、動かない生き方、じっとしている戦略は5つあるとして、①芽生えた場所に適応して体を作る、②エネルギー源を自前で作る、③体の一部を失っても修復する、④必要なものは呼ぶ(受粉による有性生殖)、⑤全てを受け容れると列挙された。植物は生態系の起点にあります、と講演を結ばれた。
会場の様子をいつものようにスケッチさせていただいた。(了)