「誰が円高を恐れるのか?」と題して、三菱東京UFJ銀行ストラテジスト、ナオミ・フィンク氏が、7日付けのWSJ紙日本版で、「円高の最大の影響は、輸出企業にない。国内で販売している日本企業や、伝統的に円高に無関心な官僚や政治家に強く表れている。」と書かれた記事を見つけた。
「97年から07年までの10年間で、日本の製造業者の海外生産比率は11.4%から19.1%へ拡大した。自動車を含む輸送機材の39.2%,情報・通信機器の28.1%は現在、海外で生産されている。その結果、今の日本は、海外への輸出自体でなく海外投資からの収入に多く依存している。」と指摘している。
「経済産業省(METI)の最近の調査では、海外工場への投資を一段と拡大すると答えた企業は61% に達する。一方、既存の工場を海外企業に置き換える企業は39% である。製造業の大半は、海外投資に現在使っていない資金を拠出する。必ずしも国内工場を閉鎖するわけではない。」と書いた。
「多くの日本の企業は、ドル建てのシエアは輸出で48.6% ,輸入で71.7%である。一方、円建てのシエアは、輸出で41%,輸入で23.6%である。ますます強くなる円で輸出代金を受け取り、ますます弱くなるドルで輸入品の代金を支払っている。」と指摘している。
結論としてナオミ・フィンク氏は、「長くないがしろにしてきた日本国内の財・サービスの在り方を徹底的に検証する好機だ。どうしたら国内の消費者の新たなニーズにうまく対応できるかについて、企業も官僚も政治家も真剣に取り組むべきだ。特に中小企業の立ち上げを困難にしている規制撤廃に政策当局は側面援助すべきだと提言している。
こういう話は、しかるべき企業であれば先刻ご承知の事実であろう。ところが、庶民レベルでは、新聞、テレビを通じての情報に頼らざるを得ない。円高は悪、円安が善と刷り込まれ易い。円高が進めば、日本企業が全てなくなるような危機感を煽る論調が多い。
11日付けWSJ紙は、中国銀行が10日金曜日に人民元の対ドルレートの基準価格を0.8%引き上げ1ドル=6.7625元と決めた。なぜ中国が突然、人民元の上限を引き上げたのか。人民元切り上げが所期の期待通り進んでいないことから米議会が動き始めた。それを牽制する狙いであると指摘していた。通貨問題は中国では政策の根幹である。
中国に限らず、為替政策は,国益に関わる重大事項である。日本ではバカのひとつ覚えのように円高介入である。どこの国の、誰のための円高介入なのか国民に教えて欲しい。(了)
「97年から07年までの10年間で、日本の製造業者の海外生産比率は11.4%から19.1%へ拡大した。自動車を含む輸送機材の39.2%,情報・通信機器の28.1%は現在、海外で生産されている。その結果、今の日本は、海外への輸出自体でなく海外投資からの収入に多く依存している。」と指摘している。
「経済産業省(METI)の最近の調査では、海外工場への投資を一段と拡大すると答えた企業は61% に達する。一方、既存の工場を海外企業に置き換える企業は39% である。製造業の大半は、海外投資に現在使っていない資金を拠出する。必ずしも国内工場を閉鎖するわけではない。」と書いた。
「多くの日本の企業は、ドル建てのシエアは輸出で48.6% ,輸入で71.7%である。一方、円建てのシエアは、輸出で41%,輸入で23.6%である。ますます強くなる円で輸出代金を受け取り、ますます弱くなるドルで輸入品の代金を支払っている。」と指摘している。
結論としてナオミ・フィンク氏は、「長くないがしろにしてきた日本国内の財・サービスの在り方を徹底的に検証する好機だ。どうしたら国内の消費者の新たなニーズにうまく対応できるかについて、企業も官僚も政治家も真剣に取り組むべきだ。特に中小企業の立ち上げを困難にしている規制撤廃に政策当局は側面援助すべきだと提言している。
こういう話は、しかるべき企業であれば先刻ご承知の事実であろう。ところが、庶民レベルでは、新聞、テレビを通じての情報に頼らざるを得ない。円高は悪、円安が善と刷り込まれ易い。円高が進めば、日本企業が全てなくなるような危機感を煽る論調が多い。
11日付けWSJ紙は、中国銀行が10日金曜日に人民元の対ドルレートの基準価格を0.8%引き上げ1ドル=6.7625元と決めた。なぜ中国が突然、人民元の上限を引き上げたのか。人民元切り上げが所期の期待通り進んでいないことから米議会が動き始めた。それを牽制する狙いであると指摘していた。通貨問題は中国では政策の根幹である。
中国に限らず、為替政策は,国益に関わる重大事項である。日本ではバカのひとつ覚えのように円高介入である。どこの国の、誰のための円高介入なのか国民に教えて欲しい。(了)