★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

男シューマン

2019-07-27 23:49:19 | 音楽
Richter - Schumann - Humoresque Op.20 with Score


今日は起きてから何故かシューマンのWikipediaを読みふけってしまい、改めて Humoresque op.20 の楽譜を見てみたら、ちょっと弾いてみたくなってきたが、わたくしにはもう一小節目からつっかえる自信がある。

ブラームスは第1ソナタをシューマンの前で演奏したらしいのだが、シューマンは仰天して急いでクララを呼び一緒に聴いたという。ブラームスのそれは、恐ろしく明晰なロックンロールみたいなものであったと思う。シューマンがフォークの世界を彷徨してたところ、若者がやってきてジャーンとやったのである。

わたくしは、深沢七郎がいう「ヤクザの涙は女性的」という言葉を思い出した。ヤクザは恩を売ったり買ったりして他人のために泣くことになる、依存的な涙を流すことになるが、男は違う、男は自分のためにだけ泣くというのだ。確かにそうである、最近のめそめそしている輩はみんな根がヤクザなのだ。

シューマンは、自分のために泣く奴ではなかろうか。だから、ちょっと取っつきにくいのだ。Humoresque の最後なんか、なんで急に盛り上がるのか分からんがそんなもんなんだろう。左手がグルングルンと波を打つ。これは男の涙である。