捕獲されて戦闘用に飼育された龍のような大蛇「闘蛇」と翼のある巨獣「王獣」、闘蛇を兵器として用いる大公と王獣に守られた伝説を持つ女系の真王、闘蛇・王獣を操る術を持ちつつ昔そのために破局的な戦争が起きたことから術を封印して秘匿し放浪する霧の民。その駆け引きと陰謀の中、そのような事情を知らずに闘蛇の世話係だった母が闘蛇が死んだことの責めを負わされて処刑されて孤児となって蜂飼いに拾われて放浪するうちに野生の王獣を見て惹かれ蜂飼いが王都に戻ることになって王獣保護場に住み込み王獣の世話をすることになり、傷ついた王獣の世話をするうちに王獣と意思疎通ができるようになった少女エリンが、王獣を守りたいという気持ちと、王獣とそして王獣を操ることができるエリンを利用したい者たちの思惑に挟まれ翻弄されながら自分の思いを貫こうとするというようなストーリーの物語。
前半は、どちらかというと動物園の飼育係奮闘記みたいな感じで楽しく読めますが、後半はエリンが政争に巻き込まれていく上に、特に終盤でエリンがエリンを連行しようとした男たちに逆上した王獣がその男の1人を襲いそれをかばったエリンの左手が王獣に噛み砕かれて以降はエリンも王獣と距離を置き王獣が嫌がる音無笛を吹かざるを得なくなって、読んでいて暗くなりちょっとつらい。
エンディングあたりまで、エリンのいざとなったら自分がすべてを背負い込んで死ねばいいという悲壮感というかやや投げやりともいえる思いが引きずられ、ラストに少し変化があるとはいえ、なんか切ない読後感でした。

上橋菜穂子 講談社 2006年11月21日発行
前半は、どちらかというと動物園の飼育係奮闘記みたいな感じで楽しく読めますが、後半はエリンが政争に巻き込まれていく上に、特に終盤でエリンがエリンを連行しようとした男たちに逆上した王獣がその男の1人を襲いそれをかばったエリンの左手が王獣に噛み砕かれて以降はエリンも王獣と距離を置き王獣が嫌がる音無笛を吹かざるを得なくなって、読んでいて暗くなりちょっとつらい。
エンディングあたりまで、エリンのいざとなったら自分がすべてを背負い込んで死ねばいいという悲壮感というかやや投げやりともいえる思いが引きずられ、ラストに少し変化があるとはいえ、なんか切ない読後感でした。

上橋菜穂子 講談社 2006年11月21日発行