伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

国境のない生き方 私をつくった本と旅

2016-12-27 09:29:28 | エッセイ
 「テルマエ・ロマエ」でブレイクした漫画家の著者が、幼い頃に北海道の原生林に囲まれて女手一つで育てられたところから、14歳でヨーロッパを一人旅したり17歳でイタリアに渡って極貧の生活をするなどの半生を題材に、旅とボーダー越えをテーマとして人生を語るエッセイ。
 イタリアで詩人と同棲しいつも電気・ガス・水道のどれかは切られた状態というビンボー生活をし借金に追われる(母親が訪ねてきて、電気もガスも止められているこんな極寒の家にはとてもじゃないがいられないと、1泊しかしないで別の町へと発って行ったとか)経験をした著者が、失敗はダメ-ジ・ポイントではない、それだけボキャブラリーが増え時がたてば「経験」になると語るのは重みがあります。
 なんとなく力が湧いてくる感じの人生論です。


ヤマザキマリ 小学館新書 2015年4月6日発行
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あなたのアクセスはいつも誰かに見られている

2016-12-25 00:01:16 | 実用書・ビジネス書
 インターネット上のサイトやアプリなどによる個人の行動データ(検索履歴、閲覧履歴、閲覧時間、ダウンロード等)の収集と利用の実情、行動データの利用によるサイトやゲーム等の開発設計などについて説明した本。
 著者は、行動データを利用して各種のサイトやゲームのデザインをしている側ですので、行動データの収集利用について、「必要以上に恐れるのではなく」など、過剰反応するなというメッセージを繰り返し、情報収集への「理解」を求めています。「必要以上に」というのは、実は何も言っていないに等しく、この言葉は私には「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」というフレーズと同じに思えます。現実には、例えば Google アカウントでも個人情報が登録されているわけで、 Google は検索履歴とその登録情報を紐づけて利用できるわけですし、それが流出しない保証はありません。個人情報と紐づけられないとしても、サイトでの広告表示では、そのサイトを訪問した人が「30代・男性・家電に興味あり」という属性を持った人だとすると機械が1000分の1秒単位でその属性の者に広告表示を希望する広告主間で入札して落札した広告主の広告画像がその人のブラウザに表示される(94~99ページ)などということが現在行われているという説明自体、すでに十分気持ち悪い。
 行動データの取得を止めさせるのは現実には難しく、この本の記述をきっかけに、Google のアカウントでのアクティビティの削除と今後の収集の「一時停止」をしてみましたが、削除方法は一応説明されているものの発見しにくくなっています。閲覧先の各サイトの情報収集中止など、どうやってできるのかもわかりませんし、いちいちやってられません。個人情報保護などと言いながら、行政の側は「個人番号」(お役所の広報用語では「マイナンバー」)を勝手に割り振った挙句、その個人番号とともに本人確認書類(自宅の住所などが記載されたもの)を取引先等の関係各所に届け出るように要求して、行政と企業が個人情報の収集をする機会を圧倒的に増やし情報漏洩のリスクを高めているように、個人情報が現実にはとても粗末に扱われる(行政と企業はやりたい放題に個人情報を収集利用できる)いやな時代だなぁという思いをさらに強めました。


小川卓 扶桑新書 2016年5月1日発行
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朝起きられない人のねむり学

2016-12-24 20:53:06 | 自然科学・工学系
 睡眠外来の医師の立場から、睡眠一般の説明と、睡眠障害の診断と考え方などを説明した本。
 睡眠不足が続くと注意力が落ちていき、それは睡眠時間を8時間取る日(回復日)が1日あっても元の水準には戻らない:週末に寝だめしても効かない(19~21ページ)、人の体内時計の周期は24時間より少し長く(以前は25時間とか言われていたが最近の研究では24時間10分くらいだとか)体内時計を合わせるために朝光を浴びる必要があるが、それは「最低体温を記録した後」の光なので数時間は寝た後に朝の光を浴びる必要がある(43~53ページ)などの説明が目を引きます。う~ん、やっぱり寝だめは効かないのか、昼夜逆転生活はまずいのか…しかし…
 一般的な説明は統計でなされていますが、この本の特徴は、その人にとってのベストな睡眠時間は人それぞれだとしている点にあります。ヒトにはなぜか4時と14時ころに眠くなる時間帯があり、そこからすると午前中には眠くならないようになっていると考えられる、それを基準に考えると午前中に眠くなるのは無理をしているからで、午前中に眠くならないような睡眠時間が、その人に必要な睡眠時間だとしてます(81~89ページ)。自分の体からのサインを無視しないようにとも。
 なるほどと思い、勇気づけられるところも多いのですが、近年、平日に夜更かしして(終電近くまで事務所で仕事をする、あるいは自宅で深夜までホームページの記事を書く)土曜日昼過ぎまで寝て回復する(それですっきりして午後事務所でまとまった書面を起案する)という生活を続けている私には、寝だめは効かないとか、午前中眠くならないと言っても(土曜日は午前中は起きてないし)…とか、また悩ましく思えます。


神山潤 新曜社 2016年6月1日発行
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