昭和33年生まれで現在は東京に住むスポーツジムのインストラクターの乾明子が、シェアハウスの自分の部屋を掃除していて見つけた昔のものを見て滋賀県の公立高校時代の想い出にふけるという設定の短編連作。
現在の方は、話がカタツムリもビックリなほど進まず、この現在の設定は何のためにあったのかと思いました。
海原雄山もかくやと思わせる(作者、これ美味しんぼからイメージしたんでしょうね)厳しいというか身勝手な父親の支配下にあったという点はさておき、作者の1学年下で大阪の公立高校で過ごした私には、関西弁の感覚、当時の流行や世相が、実に懐かしくハマります。まぁ、秋吉久美子への憧れはともかく、明子が犬井くんから「ふつうの女の子が正しいと思うことを妥協しないでやってきたらここまで来ただけなんや」(46ページ)といって渡された本が、私には「20歳の原点」かなぁと思えたところが「わが愛わが革命」(重信房子)というのが、わずか1学年ながらに世代の違いを感じてしまいました。もっとも、出版時期は「20歳の原点」の方が古いのですが…
姫野カオルコ 文藝春秋 2020年11月20日発行
「オール讀物」連載
現在の方は、話がカタツムリもビックリなほど進まず、この現在の設定は何のためにあったのかと思いました。
海原雄山もかくやと思わせる(作者、これ美味しんぼからイメージしたんでしょうね)厳しいというか身勝手な父親の支配下にあったという点はさておき、作者の1学年下で大阪の公立高校で過ごした私には、関西弁の感覚、当時の流行や世相が、実に懐かしくハマります。まぁ、秋吉久美子への憧れはともかく、明子が犬井くんから「ふつうの女の子が正しいと思うことを妥協しないでやってきたらここまで来ただけなんや」(46ページ)といって渡された本が、私には「20歳の原点」かなぁと思えたところが「わが愛わが革命」(重信房子)というのが、わずか1学年ながらに世代の違いを感じてしまいました。もっとも、出版時期は「20歳の原点」の方が古いのですが…
姫野カオルコ 文藝春秋 2020年11月20日発行
「オール讀物」連載