種としての犬のルーツ(オオカミからの分岐)や犬の知覚・能力と心理面について解説した本。
犬はオオカミの子孫だということから支配者の座を狙っているとしてしつけのためには飼い主が優位に立つことを見せつける必要があり反抗には罰を与えるべきという伝統的な考えに対し、犬は飼い主さらには人間一般に対して愛着を持ちやすい性質を持ち褒めて育てるべきという、科学者としてなのか一愛犬家としてなのかやや微妙な主張が貫かれています。
犬は、ごく短い時間(数秒レベル)を超えて過去を振り返って判断することができないので、飼い主が帰ってきたときに犬が留守中に悪いことをしたとして叱ることは、犬には過去にしたことと結びつけて考えることができずただ飼い主が帰ってきたことと結びつけてしまうので、飼い主は帰ってくるとあるときは優しくあるときは叱るという不安を与えるだけで、その不安からまた問題行動に出るという説明や、特定の個人だけではなく人一般に愛着を持つという特性は他の動物にはない犬の特徴(特定の個人なら生後すぐに見たものを親と思う刷り込みなど他の動物にもある)という説明など勉強になりました。
学者の書いた本らしく、記述が長く、特に日本語タイトルにある犬の考えのような部分に至るまでが相当長くて放り出したくなる衝動に何度も駆られました。また、紹介されている実験が1つの項目につきたいてい1例でそれもほとんどの場合サンプル数がかなり少ないのが、学者さんの本としては気になりました。
テーマとして興味深く、書かれていることもなるほどと思うのですが、もう少し実験例を増やしてシンプルな記述にしてくれたら(厚さで半分くらいにしてくれたらな)と思う本でした。
原題:DOG SENSE
ジョン・ブラッドショー 訳:西田美緒子
河出書房新社 2012年6月30日発行 (原書は2011年)
犬はオオカミの子孫だということから支配者の座を狙っているとしてしつけのためには飼い主が優位に立つことを見せつける必要があり反抗には罰を与えるべきという伝統的な考えに対し、犬は飼い主さらには人間一般に対して愛着を持ちやすい性質を持ち褒めて育てるべきという、科学者としてなのか一愛犬家としてなのかやや微妙な主張が貫かれています。
犬は、ごく短い時間(数秒レベル)を超えて過去を振り返って判断することができないので、飼い主が帰ってきたときに犬が留守中に悪いことをしたとして叱ることは、犬には過去にしたことと結びつけて考えることができずただ飼い主が帰ってきたことと結びつけてしまうので、飼い主は帰ってくるとあるときは優しくあるときは叱るという不安を与えるだけで、その不安からまた問題行動に出るという説明や、特定の個人だけではなく人一般に愛着を持つという特性は他の動物にはない犬の特徴(特定の個人なら生後すぐに見たものを親と思う刷り込みなど他の動物にもある)という説明など勉強になりました。
学者の書いた本らしく、記述が長く、特に日本語タイトルにある犬の考えのような部分に至るまでが相当長くて放り出したくなる衝動に何度も駆られました。また、紹介されている実験が1つの項目につきたいてい1例でそれもほとんどの場合サンプル数がかなり少ないのが、学者さんの本としては気になりました。
テーマとして興味深く、書かれていることもなるほどと思うのですが、もう少し実験例を増やしてシンプルな記述にしてくれたら(厚さで半分くらいにしてくれたらな)と思う本でした。
原題:DOG SENSE
ジョン・ブラッドショー 訳:西田美緒子
河出書房新社 2012年6月30日発行 (原書は2011年)