北関東の片田舎に高レベル放射性廃棄物の地層処分研究所(G棟)を含む最新科学技術の拠点を造るとうたう「スーパーテクノポリス(ST)計画」への反対運動に加わり開発側の中心人物の代議士のスキャンダルを追っていたフリーライターが自室内で絞殺された事件を捜査していた草薙刑事と内海刑事は、殺害されたフリーライターの携帯電話の発信履歴に帝都大学の電話番号があり、メモリーカードに残された動画について聞くために湯川の元を訪れというミステリー小説。
福島原発事故前に書かれたガリレオシリーズ第6作の「真夏の方程式」(2013年8月15日の記事で紹介)で、環境保護運動家を悪者とし、湯川から環境保護派に対して開発事業者への理解を求めさせた作者が、福島原発事故後に書いたこの作品で、原子力施設を含む開発を取り上げたことから、作者のスタンスがどう変わったかが、私には興味の中心となりましたが、開発事業者側のダーティーな側面も書いてはいますが、やはり環境保護運動家が悪者と位置づけられ、この人のスタンスは、福島原発事故を経ても変わらないのだなと思いました。開発側の代議士に「結局のところ、この国は、科学技術を売りにするしかないんだ。何十年か先になって、あのときに決断していればと後悔しても遅い。誰かが泥をかぶらなきゃいけないんだ」(258ページ)なんて言わせていますしね。
東野圭吾 文春文庫 2015年6月10日発行(単行本は2012年10月。ただし、単行本では短編集の1話だったものを文庫本化の際に大幅加筆して長編化)
福島原発事故前に書かれたガリレオシリーズ第6作の「真夏の方程式」(2013年8月15日の記事で紹介)で、環境保護運動家を悪者とし、湯川から環境保護派に対して開発事業者への理解を求めさせた作者が、福島原発事故後に書いたこの作品で、原子力施設を含む開発を取り上げたことから、作者のスタンスがどう変わったかが、私には興味の中心となりましたが、開発事業者側のダーティーな側面も書いてはいますが、やはり環境保護運動家が悪者と位置づけられ、この人のスタンスは、福島原発事故を経ても変わらないのだなと思いました。開発側の代議士に「結局のところ、この国は、科学技術を売りにするしかないんだ。何十年か先になって、あのときに決断していればと後悔しても遅い。誰かが泥をかぶらなきゃいけないんだ」(258ページ)なんて言わせていますしね。
東野圭吾 文春文庫 2015年6月10日発行(単行本は2012年10月。ただし、単行本では短編集の1話だったものを文庫本化の際に大幅加筆して長編化)