戦国時代を象徴する人物の1人、マムシの道三こと斎藤道三の生涯を題材にした時代小説。
戦国時代ではありますが、戦の場面は終盤になるまではほとんどなく、周囲の人間との関係、どのようにパトロン・庇護者、敵対者を籠絡していくか、親との関係、庇護者との関係、そして女性関係・濡れ場に多くの紙幅が割かれています。
全体としては、道三(幼名峯丸)の父基宗に対する思い、義龍の父道三への思いという親子関係が基調をなしているように思えます。その点では、前半で父を慕い続け強い/全幅の信頼を置いていた峯丸/道三が、後半でそれは父の支配であり承認欲求を満たすためであったと不信感/敵愾心を募らせるに至る変化の経緯部分が今ひとつ描かれていないように思えて、残念でした。人間の気持ちというのは、明確なわかりやすい理由があって変化するとは限らず、さしたる理由もなく何かの拍子で、あるいは自分でもそうとはわからぬうちに変化するものということかもしれませんが。
「権力を握っている者が、知らぬ存ぜぬで通せば、取り巻きから下々までもやもやしたものを抱えはするが、時間がたてばなんとなく収まりがついてしまう」「これは現代の政治における廉恥に欠ける二世、三世議員にも通じることである。なにしろ日本語もまともに喋れないのだから、如何ともしがたい。二世三世は、そのまま二流三流に通じるのだ。二世もだめだが、三世ともなると取り柄の欠片もなくなる」(320~321ページ)というのは、やはりそーりだけでなくて議員も辞めていただいた方が喜ばしいあの方のことなんでしょうね。共感いたします。
花村萬月 小学館 2020年10月20日発行
戦国時代ではありますが、戦の場面は終盤になるまではほとんどなく、周囲の人間との関係、どのようにパトロン・庇護者、敵対者を籠絡していくか、親との関係、庇護者との関係、そして女性関係・濡れ場に多くの紙幅が割かれています。
全体としては、道三(幼名峯丸)の父基宗に対する思い、義龍の父道三への思いという親子関係が基調をなしているように思えます。その点では、前半で父を慕い続け強い/全幅の信頼を置いていた峯丸/道三が、後半でそれは父の支配であり承認欲求を満たすためであったと不信感/敵愾心を募らせるに至る変化の経緯部分が今ひとつ描かれていないように思えて、残念でした。人間の気持ちというのは、明確なわかりやすい理由があって変化するとは限らず、さしたる理由もなく何かの拍子で、あるいは自分でもそうとはわからぬうちに変化するものということかもしれませんが。
「権力を握っている者が、知らぬ存ぜぬで通せば、取り巻きから下々までもやもやしたものを抱えはするが、時間がたてばなんとなく収まりがついてしまう」「これは現代の政治における廉恥に欠ける二世、三世議員にも通じることである。なにしろ日本語もまともに喋れないのだから、如何ともしがたい。二世三世は、そのまま二流三流に通じるのだ。二世もだめだが、三世ともなると取り柄の欠片もなくなる」(320~321ページ)というのは、やはりそーりだけでなくて議員も辞めていただいた方が喜ばしいあの方のことなんでしょうね。共感いたします。
花村萬月 小学館 2020年10月20日発行