歴史的事件などのトピックと当時の気候変動を関係づけたエピソードを語る本。
著者の専門からは外れるかも知れませんが、氷期・間氷期が繰り返される理由が陸地が北半球に偏っているために地球の公転や地軸の傾きの変化により北半球の日照量が減少して北半球の陸地の氷床(万年雪、氷河)が拡大する時期が氷期となる(南半球は海洋が多く海の水は塩分のために-1.5℃にならないと凍らないので影響は小さい)という説明(36~37ページ、194~196ページ)に、まずそうだったのかと驚きました。
有史以降では気候変動の大きな要因は太陽活動と火山の大噴火で、8世紀から13世紀初めまでは温暖期、13世紀後半から相次ぐ火山の大噴火によって寒冷期が始まり、13世紀後半にはモンゴル帝国の軍事力が低下したり、16世紀の火山の連続的な大噴火による気温低下時には魔女裁判が増えたりしたことが論じられています(100~104ページ、124~128ページ)。他方で、太陽活動が最も低迷した17世紀後半のマウンダー極小期はこの寒冷期でも寒冷化の極にあたり、この時期に育ったトウヒは小穴がない堅い材質になり、それがストラディバリウスの音色を作っていると論じられています(135~139ページ)。
1970年代に、氷河期が来ると言われていた原因となる寒冷化傾向は、火山の噴火(インドネシア:アグン火山)、大気汚染(工場の煤煙、自動車排ガス)、大気圏核実験によるエアロゾルのせいだとされています(175~179ページ)。
いろいろと、そうだったのかと思うところがあり、でも本当かなぁと思うところもある好奇心を刺激される読み物ではあります。
田家康 日経プレミアシリーズ 2014年9月8日発行
著者の専門からは外れるかも知れませんが、氷期・間氷期が繰り返される理由が陸地が北半球に偏っているために地球の公転や地軸の傾きの変化により北半球の日照量が減少して北半球の陸地の氷床(万年雪、氷河)が拡大する時期が氷期となる(南半球は海洋が多く海の水は塩分のために-1.5℃にならないと凍らないので影響は小さい)という説明(36~37ページ、194~196ページ)に、まずそうだったのかと驚きました。
有史以降では気候変動の大きな要因は太陽活動と火山の大噴火で、8世紀から13世紀初めまでは温暖期、13世紀後半から相次ぐ火山の大噴火によって寒冷期が始まり、13世紀後半にはモンゴル帝国の軍事力が低下したり、16世紀の火山の連続的な大噴火による気温低下時には魔女裁判が増えたりしたことが論じられています(100~104ページ、124~128ページ)。他方で、太陽活動が最も低迷した17世紀後半のマウンダー極小期はこの寒冷期でも寒冷化の極にあたり、この時期に育ったトウヒは小穴がない堅い材質になり、それがストラディバリウスの音色を作っていると論じられています(135~139ページ)。
1970年代に、氷河期が来ると言われていた原因となる寒冷化傾向は、火山の噴火(インドネシア:アグン火山)、大気汚染(工場の煤煙、自動車排ガス)、大気圏核実験によるエアロゾルのせいだとされています(175~179ページ)。
いろいろと、そうだったのかと思うところがあり、でも本当かなぁと思うところもある好奇心を刺激される読み物ではあります。
田家康 日経プレミアシリーズ 2014年9月8日発行