沖縄出身のホームレス謝花に拾われて共に暮らす孤児の少年臥薪正太郎が、ホームレス狩りの高校生や暴力団の幹部を仲間にし、組長の娘の下半身不随の美少女霧絵の指示の下に沖縄で教団を立ち上げ勢力を増して行き、最後の審判に至るという小説。
前半の大和編では、わりと丁寧にホームレス生活をするあどけない「神の子」と周囲のキャラクター設定、人間関係を書いていたのに、後半の琉球編になると、話が飛びがちで大雑把になり、育てたキャラもあっさり捨てられていきます。
前半で存在感たっぷりで妖しい魅力を放っていた霧絵は、後半ではただの補佐役になりまるで魅力が感じられません。それと入れ替わりのように登場した羊子も、すぐにただ愚かしい存在に成り下がります。
「自慰爺を救わなければ世界は救えない」という正太郎のこだわりや、羊子が語る主のお告げの話は、その後の展開を考えると、一体何だったんだろうと思います。
連載で書き継いでいくうちに気が変わったのかめんどうになったのか。やはりこういう話は書ききるのが大変なんでしょうね。収拾がつかなくなって叩き切っていった感じの終盤です。まぁ、神、宗教の話ですから、荒唐無稽で不条理なものと割り切れば、それはそれでいいんですが、もう少しじんわりとした読後感を持たせて欲しかったなと思います。

花村萬月 集英社 2010年3月30日発行
「小説すばる」2008年1月号~2009年4月号連載
前半の大和編では、わりと丁寧にホームレス生活をするあどけない「神の子」と周囲のキャラクター設定、人間関係を書いていたのに、後半の琉球編になると、話が飛びがちで大雑把になり、育てたキャラもあっさり捨てられていきます。
前半で存在感たっぷりで妖しい魅力を放っていた霧絵は、後半ではただの補佐役になりまるで魅力が感じられません。それと入れ替わりのように登場した羊子も、すぐにただ愚かしい存在に成り下がります。
「自慰爺を救わなければ世界は救えない」という正太郎のこだわりや、羊子が語る主のお告げの話は、その後の展開を考えると、一体何だったんだろうと思います。
連載で書き継いでいくうちに気が変わったのかめんどうになったのか。やはりこういう話は書ききるのが大変なんでしょうね。収拾がつかなくなって叩き切っていった感じの終盤です。まぁ、神、宗教の話ですから、荒唐無稽で不条理なものと割り切れば、それはそれでいいんですが、もう少しじんわりとした読後感を持たせて欲しかったなと思います。

花村萬月 集英社 2010年3月30日発行
「小説すばる」2008年1月号~2009年4月号連載