諸外国に比べてギャンブル有病者が図抜けて多いのにほとんど対策が取られていない日本の現状について、公営ギャンブルとギャンブル扱いさえされていないパチンコ・スロットをめぐる利権構造などを指摘する本。
厚労省の研究班が2014年8月に発表した成人4000人に対する面接調査によれば、日本のギャンブル依存の有病者は4.8%(男性8.7%、女性1.8%)に達し、海外の調査ではアメリカが1.6%、香港が1.8%、韓国が0.8%なのと比べて図抜けて多いのだそうです(3ページ)。そして患者の病態はアルコール依存症と似ていて、離脱症状(ギャンブルができなくなると焦燥感や落ち着きのなさ、不眠、動悸、息苦しさ、冷や汗、手の震えなどが生じる)がありそれが1月、2月と続き、多少の金額を賭けるのでは興奮しなくなり次第に大金を賭けるようになり、手堅く本命に賭けるのでは面白くなくなり穴狙いになる、治療の基本は自助グループ参加だが自助グループは2014年9月段階で全国で146グループにとどまり岩手県、岐阜県、鳥取県には1つもないそうです(8~10ページ、163ページ)。そして精神科医である著者の経験上、ギャンブル有病者のほとんどがパチンコ・スロットによるものだといいます(26~30ページ)。
そうか、病気だということなら、医者に行け、自助グループに行けということなんですね。債務整理をした弁護士・司法書士がそのまま放置するのが問題だと指摘されています(216ページ)。今後気をつけます。
こういうギャンブル障害の実情が、私としては読んでためになる部分ですが、この本の大部分は、ギャンブル障害の実情が公表されず対策も取られない元凶が公営ギャンブルとパチンコ・スロットをめぐる利権構造にあることの指摘になっています。その部分を言いたいのはわかりますが、私の感覚ではそういう仕事はルポライターに任せて、著者は専門領域のギャンブル障害患者の実情の方をもっと詳しく書いて欲しかったなぁと思います。
ところで、弁護士の目からは、事例Dさんについて、NPO法人の「ひこばえの会」が「ヤミ金の負債のみは返済し、あとは自己破産した方がよい」とアドバイスした(43ページ)というのが引っかかります。ヤミ金に返しちゃダメでしょう。法的にもヤミ金に対する返済義務はありませんし、現実的対策としてもなまじ返すといつまでも付きまとわれますし。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
帚木蓬生 光文社新書 2014年12月15日発行
厚労省の研究班が2014年8月に発表した成人4000人に対する面接調査によれば、日本のギャンブル依存の有病者は4.8%(男性8.7%、女性1.8%)に達し、海外の調査ではアメリカが1.6%、香港が1.8%、韓国が0.8%なのと比べて図抜けて多いのだそうです(3ページ)。そして患者の病態はアルコール依存症と似ていて、離脱症状(ギャンブルができなくなると焦燥感や落ち着きのなさ、不眠、動悸、息苦しさ、冷や汗、手の震えなどが生じる)がありそれが1月、2月と続き、多少の金額を賭けるのでは興奮しなくなり次第に大金を賭けるようになり、手堅く本命に賭けるのでは面白くなくなり穴狙いになる、治療の基本は自助グループ参加だが自助グループは2014年9月段階で全国で146グループにとどまり岩手県、岐阜県、鳥取県には1つもないそうです(8~10ページ、163ページ)。そして精神科医である著者の経験上、ギャンブル有病者のほとんどがパチンコ・スロットによるものだといいます(26~30ページ)。
そうか、病気だということなら、医者に行け、自助グループに行けということなんですね。債務整理をした弁護士・司法書士がそのまま放置するのが問題だと指摘されています(216ページ)。今後気をつけます。
こういうギャンブル障害の実情が、私としては読んでためになる部分ですが、この本の大部分は、ギャンブル障害の実情が公表されず対策も取られない元凶が公営ギャンブルとパチンコ・スロットをめぐる利権構造にあることの指摘になっています。その部分を言いたいのはわかりますが、私の感覚ではそういう仕事はルポライターに任せて、著者は専門領域のギャンブル障害患者の実情の方をもっと詳しく書いて欲しかったなぁと思います。
ところで、弁護士の目からは、事例Dさんについて、NPO法人の「ひこばえの会」が「ヤミ金の負債のみは返済し、あとは自己破産した方がよい」とアドバイスした(43ページ)というのが引っかかります。ヤミ金に返しちゃダメでしょう。法的にもヤミ金に対する返済義務はありませんし、現実的対策としてもなまじ返すといつまでも付きまとわれますし。
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帚木蓬生 光文社新書 2014年12月15日発行