映画好きの老人が娘が就職した斜陽映画雑誌社が立ち上げた映画ブログ「キネマの神様」で映画の感想を書きつづることで立ち直って行くことをメインストーリーに、関係した人々の前向きな変化を誘っていく小説。
前半、ギャンブル中毒で借金まみれになった80歳近い父親と、シネマコンプレックス担当課長を辞めて失業した40歳近い娘の展望のない話が続きますが、娘がひょんなことから、伝統はあるもののつぶれかけの映画雑誌社の編集長に見初められて就職し、アニメオタクの先輩編集者、引きこもりの天才ハッカーの編集長の息子の引きで父親に映画の感想を書かせてブログを立ち上げてからは明るい展開となっていきます。特にギャンブル中毒のどうしようもない人物だった父親が、娘や長年の友人の名画座経営者のために一肌脱いだり、この歳にして大きな成長を見せます。
全編を通じて映画好きのための小説ではありますが、映画の知識がなくてもそれほど困りはしません。
ポジティブで、ジンとくるところもあり、読後感のいい作品です。
勤続17年で年収1000万円(201頁)の人の退職金が300万円(19頁)ってちょっと考えにくい設定ですけど。
原田マハ 文藝春秋 2008年12月15日発行
「別冊文藝春秋」2007年7月号~2008年9月号連載
前半、ギャンブル中毒で借金まみれになった80歳近い父親と、シネマコンプレックス担当課長を辞めて失業した40歳近い娘の展望のない話が続きますが、娘がひょんなことから、伝統はあるもののつぶれかけの映画雑誌社の編集長に見初められて就職し、アニメオタクの先輩編集者、引きこもりの天才ハッカーの編集長の息子の引きで父親に映画の感想を書かせてブログを立ち上げてからは明るい展開となっていきます。特にギャンブル中毒のどうしようもない人物だった父親が、娘や長年の友人の名画座経営者のために一肌脱いだり、この歳にして大きな成長を見せます。
全編を通じて映画好きのための小説ではありますが、映画の知識がなくてもそれほど困りはしません。
ポジティブで、ジンとくるところもあり、読後感のいい作品です。
勤続17年で年収1000万円(201頁)の人の退職金が300万円(19頁)ってちょっと考えにくい設定ですけど。
原田マハ 文藝春秋 2008年12月15日発行
「別冊文藝春秋」2007年7月号~2008年9月号連載