少女を主人公として多くの女性に読まれてきた名作(少年少女世界文学全集的な)少女小説「小公女」、「若草物語」、「ハイジ」、「赤毛のアン」、「あしながおじさん」、「秘密の花園」、「大草原の小さな家」シリーズ、「ふたりのロッテ」、「長くつ下のピッピ」を主人公の少女の側から見た闘いの物語として読み込み解読する本。
私は自分のサイトで、娘が子どもだった頃に娘に読ませたい本を見繕いながら、「女の子が楽しく読める読書ガイド」という記事を書いていました。想定する作品の読者の年齢層は違っても、ある意味で似たような志向ではあるのですが、私なら残念だと評価してしまうようなエンディングでの主人公の挫折や無難な大人への「成長」をも、主人公の現実的でしたたかな戦略と読む読み込みと作者・読者への温かな目線に、そういう読み方もあるのかと感心しました。私は「あしながおじさん」は、強い元気な女の子に育つという観点からは読むに値しないものと見ていましたし、他方「長くつ下のピッピ」は手放しで賞賛してピッピの孤独やピッピを受け入れるアンニカとトミーのキャパを見るという視点は持てていませんでした。いろいろに目からウロコの思いをしました。
斎藤美奈子 河出新書 2021年6月30日発行
私は自分のサイトで、娘が子どもだった頃に娘に読ませたい本を見繕いながら、「女の子が楽しく読める読書ガイド」という記事を書いていました。想定する作品の読者の年齢層は違っても、ある意味で似たような志向ではあるのですが、私なら残念だと評価してしまうようなエンディングでの主人公の挫折や無難な大人への「成長」をも、主人公の現実的でしたたかな戦略と読む読み込みと作者・読者への温かな目線に、そういう読み方もあるのかと感心しました。私は「あしながおじさん」は、強い元気な女の子に育つという観点からは読むに値しないものと見ていましたし、他方「長くつ下のピッピ」は手放しで賞賛してピッピの孤独やピッピを受け入れるアンニカとトミーのキャパを見るという視点は持てていませんでした。いろいろに目からウロコの思いをしました。
斎藤美奈子 河出新書 2021年6月30日発行