住宅用エネルギー管理システムなどのエネルギー供給を含めたさまざまなサービスの提供を行う民間企業(エンコアード株式会社)のCEOとマーケティング本部長が、電力自由化とガス自由化が進んだ場合の将来像の明るい側面を述べて、自社の事業を含む電力自由化・ガス自由化の先にあるさまざまなサービス/事業をピーアールする本。
電力自由化が2016年4月に始まったことから書き始めていますが、その具体的な内容に関する説明はわずかで、基本的には、その先の予想というか願望を、展開しています。電力自由化自体、発送電分離がきちんと行われるのか、骨抜きにされるのではないかということがまず気になるところですが、そういった問題意識は皆無で、明るい未来像だけが語られています。
前半では、通信機能を持つ電力計スマートメーターへの切替が説明され、賛美されていますが、スマートメーターの機能は、使用電力量の送信(電気料金の請求・徴収)、電気供給の停止・再開の遠隔操作、住宅用エネルギー管理システムを通じてピーク時の電気使用制御(エアコンの運転を弱める、充電等の抑制)、事業者へのデータ(ビッグデータ)の提供(84~88ページ)って、要するにすべて電力会社の都合で顧客の電気使用をコントロールできるとか顧客の情報を利用したり売却できるってことばかり。消費者にはいいことなんてない。スマートメーターと、住宅用エネルギー管理システムで、電力会社やエネルギー管理サービス会社に包括的に生活やその情報を握られ抑え込まれた、無自覚な奴隷のような生活を強いられる事態を明るい未来のように描かれるのには辟易します。
毎日新聞出版の出版なのでもう少しジャーナリスティックなものかと錯覚しましたが、事業者による自己の営業分野のピーアールの域を超えるものではないと思いました。
チェ・ジョンウン、本橋恵一 毎日新聞出版 2016年5月30日発行
電力自由化が2016年4月に始まったことから書き始めていますが、その具体的な内容に関する説明はわずかで、基本的には、その先の予想というか願望を、展開しています。電力自由化自体、発送電分離がきちんと行われるのか、骨抜きにされるのではないかということがまず気になるところですが、そういった問題意識は皆無で、明るい未来像だけが語られています。
前半では、通信機能を持つ電力計スマートメーターへの切替が説明され、賛美されていますが、スマートメーターの機能は、使用電力量の送信(電気料金の請求・徴収)、電気供給の停止・再開の遠隔操作、住宅用エネルギー管理システムを通じてピーク時の電気使用制御(エアコンの運転を弱める、充電等の抑制)、事業者へのデータ(ビッグデータ)の提供(84~88ページ)って、要するにすべて電力会社の都合で顧客の電気使用をコントロールできるとか顧客の情報を利用したり売却できるってことばかり。消費者にはいいことなんてない。スマートメーターと、住宅用エネルギー管理システムで、電力会社やエネルギー管理サービス会社に包括的に生活やその情報を握られ抑え込まれた、無自覚な奴隷のような生活を強いられる事態を明るい未来のように描かれるのには辟易します。
毎日新聞出版の出版なのでもう少しジャーナリスティックなものかと錯覚しましたが、事業者による自己の営業分野のピーアールの域を超えるものではないと思いました。
チェ・ジョンウン、本橋恵一 毎日新聞出版 2016年5月30日発行