芸術家系の家族の中で何をやっても平均点で自分には個性がないと悩み、中3の10月に入学したときから不登校だった女の子が初めて学校に来たがクラスのみんなの前で固まってしまったのを見て学生服を脱ぎヨレヨレのドラえもんTシャツを見せて雰囲気を変えそれを機にその子がクラスに入れたことなどから、「人の心の中を読み取れる」能力があると自覚した19歳の梨木匠が、バイト先のオムライス店に後からバイトで入ってきた常磐冬香が完全に心を閉ざしその気持ちが全然読めないことをなんとかしたいと思い…という青春小説。
人の心が読めると自負しているのに、大学で毎日必ずどこかで会う河野悠に、毎日出会うことを「これも奇遇だよな」と言い(125ページ)、「みんなはエスパーだとか、人の気持ちが読めるとかはやし立ててたけど、私はどこがだって思ってた」(81ページ)なんて言われるのは、梨木の天然キャラなのかと思いますが、読み手としてはもどかしさを感じます。

瀬尾まいこ 講談社 2022年7月4日発行
人の心が読めると自負しているのに、大学で毎日必ずどこかで会う河野悠に、毎日出会うことを「これも奇遇だよな」と言い(125ページ)、「みんなはエスパーだとか、人の気持ちが読めるとかはやし立ててたけど、私はどこがだって思ってた」(81ページ)なんて言われるのは、梨木の天然キャラなのかと思いますが、読み手としてはもどかしさを感じます。

瀬尾まいこ 講談社 2022年7月4日発行