人生の危機や老後を考えた時、妻、特に共稼ぎで協力的な妻がいることで、経済的にも精神的にも有利になり支えとなること、妻の存在や単純に各種の制度を2人で(2口)利用できることが財テク上有利なことなどを説明し、妻と円満な関係を持つことが人生の上で有利であることを論じる本。
著者が言うように、弁護士として離婚事件をはじめさまざまな案件を取り扱っていると、離婚事件での離婚するためと相手への憎悪に向けるエネルギーとストレスの凄まじさを見て、離婚はしない方がいいという思いを持ちます。私も、結婚する以上、妻と良好な関係を保つことが幸せにつながると思いますし、そのように心がけています。しかし、弁護士がみなそう思っているか、あるいはそう思っていたとして実践しているかというと、そう言えそうにありません。多くの弁護士は、血で血を洗う(比喩です)凄惨な離婚劇を繰り広げる先輩・知人弁護士を少なからず知っています。
昔から一人口は食えぬが二人口は食えると言うように、夫婦で暮らした方が何とかなるという面はありますが、この本が妻とともに暮らした方が経済的にこんなに得と論じているところは、いいとこ取りの感があります。確かに夫婦共稼ぎで妻との関係が良好に保たれて妻が協力的な姿勢を持ち続けていれば、経済的にも精神的にもメリットが圧倒的に多いと思いますが、共同生活のコストや扶養家族となる場合や関係が悪化するリスクとその場合のデメリット、関係の悪化について言えば夫が浮気した場合ではなくても関係が悪化するリスクはある訳で、そういった場合については言及がないなど、話半分くらいに読んでおいた方がいいかなと思います。途中からメリットを強調するために、それほどのメリットとは思えない細かい財テク話が続くのもなんだかなぁと思いますし。
タイトルに合わせて経済的なメリットにこだわりすぎた感があり、そこらは読み流して、全体として、冷静に考えればせっかく結婚したのだし夫婦仲良くやった方が楽だし気持ちいいし幸せでしょ、というところを押さえればいい本かなと思います。
ところで、弁護士が書いた本として、弁護士の目にはとても気になるのが、ずっと独身で台風が近づいた時に屋根に登って工事中に強風に煽られてバランスを崩し頸椎損傷で車椅子生活となった職人が雇い主が弱小のため賠償も取れず疎ましく思われて解雇されてしまい、生活保護の相談に来たのだが、妻がいれば生活はだいぶ違っただろうというくだり(236~238ページ)…ちょっと待って欲しい。それ、労災でしょ。弁護士が雇い主だの解雇だの言ってるわけで、建築工事中に屋根から落ちたのなら、雇い主に金がなかろうが雇い主が協力しなかろうが、労災申請すれば休業補償とか障害補償が取れるでしょう。生活保護の前にそっちを追求して欲しい。
間川清 自由国民社 2015年3月31日発行
著者が言うように、弁護士として離婚事件をはじめさまざまな案件を取り扱っていると、離婚事件での離婚するためと相手への憎悪に向けるエネルギーとストレスの凄まじさを見て、離婚はしない方がいいという思いを持ちます。私も、結婚する以上、妻と良好な関係を保つことが幸せにつながると思いますし、そのように心がけています。しかし、弁護士がみなそう思っているか、あるいはそう思っていたとして実践しているかというと、そう言えそうにありません。多くの弁護士は、血で血を洗う(比喩です)凄惨な離婚劇を繰り広げる先輩・知人弁護士を少なからず知っています。
昔から一人口は食えぬが二人口は食えると言うように、夫婦で暮らした方が何とかなるという面はありますが、この本が妻とともに暮らした方が経済的にこんなに得と論じているところは、いいとこ取りの感があります。確かに夫婦共稼ぎで妻との関係が良好に保たれて妻が協力的な姿勢を持ち続けていれば、経済的にも精神的にもメリットが圧倒的に多いと思いますが、共同生活のコストや扶養家族となる場合や関係が悪化するリスクとその場合のデメリット、関係の悪化について言えば夫が浮気した場合ではなくても関係が悪化するリスクはある訳で、そういった場合については言及がないなど、話半分くらいに読んでおいた方がいいかなと思います。途中からメリットを強調するために、それほどのメリットとは思えない細かい財テク話が続くのもなんだかなぁと思いますし。
タイトルに合わせて経済的なメリットにこだわりすぎた感があり、そこらは読み流して、全体として、冷静に考えればせっかく結婚したのだし夫婦仲良くやった方が楽だし気持ちいいし幸せでしょ、というところを押さえればいい本かなと思います。
ところで、弁護士が書いた本として、弁護士の目にはとても気になるのが、ずっと独身で台風が近づいた時に屋根に登って工事中に強風に煽られてバランスを崩し頸椎損傷で車椅子生活となった職人が雇い主が弱小のため賠償も取れず疎ましく思われて解雇されてしまい、生活保護の相談に来たのだが、妻がいれば生活はだいぶ違っただろうというくだり(236~238ページ)…ちょっと待って欲しい。それ、労災でしょ。弁護士が雇い主だの解雇だの言ってるわけで、建築工事中に屋根から落ちたのなら、雇い主に金がなかろうが雇い主が協力しなかろうが、労災申請すれば休業補償とか障害補償が取れるでしょう。生活保護の前にそっちを追求して欲しい。
間川清 自由国民社 2015年3月31日発行